本日は、股関節外転筋群の等尺性収縮時の筋活動を検討されている文献を紹介させていただきます。
兵頭甲子太郎:股関節外転筋の等尺性収縮運動時における筋電図学的検討−負荷量と外転運動角度が筋活動に及ぼす影響について−:理学療法学.24(4).561-564.2009
本研究は中殿筋、大殿筋上部繊維、大腿筋膜張筋の筋活動を負荷量の変化と股関節外転角度を変えることでどのように変化するかを、筋電図を用いて検討されています。
負荷量は重錘バンド使用し、体重の0,2,4,6%と設定されており、股関節外転角度に関しては0,10,20°にて行われています。それぞれの負荷量、外転角度で股関節が移転等尺性収縮を10秒間行い、表面筋電図にて筋活動を測定されています。
結果は、大殿筋上部繊維では負荷量や外転角度の変化にて有意差はなかったものの、中殿筋・大腿筋膜張筋においては負荷量の増加や外転角度の拡大により筋活動が有意に増加していました。また、中殿筋では負荷量4%、外転角度20°で最も強い筋活動の増加を認め、大腿筋膜張筋では負荷量2%で最も強く、外転角度の増加に伴い筋活動が増加していました。
このことから、大腿筋膜張筋は中殿筋に比べ、低い負荷量で強い筋活動を起こし、外転角度が増加するによって優位に高い筋活動を起こし、外転角度20°で中殿筋が大腿筋膜張筋と同等の筋活動を起こすことが分かります。
股関節外転筋の筋力トレーニングは日常の臨床でもよく行われると思いますが、今回の文献から解剖学的特徴による運動方向だけでなく、筋活動を優位に増加させる肢位や負荷量を設定することで、効率的な筋力増強運動を行うことができることが考えられました。
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投稿者:高橋蔵ノ助