本日は胸鎖関節円板の肉眼解剖学と組織学について報告されている文献を紹介させていただきます。
江村ら:胸鎖関節円板の肉眼的解剖学・組織学的研究‐胸鎖関節の運動は関節円板と胸骨の間で生じる-.理学療法学35(suppl-2.2).697-697,2008
この文献では献体10体、14側を用いられています。そのうち鎖骨と胸骨の関節面の形状がいいもの(8側)を肉眼解剖し、その後、残り6側を含む14側全ての関節円板を取り出し組織学的検索を行っています。
肉眼解剖では全ての胸鎖関節円板は鎖骨側表面の内側部で鎖骨と直接結合していたとされています。また、摘出した関節円板は完全型(8個)、リング型(2個)、半月型(4個)の3つに分類できたとも報告されています。
完全型は円形で関節腔を完全に2分しており、リング型は中央よりもやや後方で一部かけていて輪状になり、半月型は後方部が欠損しているものであるとも報告されています。
また、鎖骨・胸骨端の後方に骨突起が観察されており、半月型→リング型→完全型の順に発達していることが確認されています。
また、組織学的検索により関節円板の鎖骨側表面は全例において繊維軟骨で構成されており、胸骨側表面は密性結合組織を含み、繊維軟骨の分化の程度が比較的低いことが報告されています。
本文でも考察されていますが鎖骨と関節円板の結合がみられていることから関節運動は関節円板と胸骨間で行われていることが考えられます。
このことから関節円板の形状と胸骨側の関節面の形状を考え運動を考える必要があるのかと思いました。
また、鎖骨側の関節円板表面は繊維軟骨で構成されていることから鎖骨に加わる軸圧に適応した結果とも考察されています。
鎖骨骨折についての文献でも鎖骨に軸圧が加わることで骨折がみられるとの報告もあり、胸鎖関節を保護するための緩衝材となることが考えられると思いました。
また、今回の文献で報告されているように関節円板の3つの型により胸鎖関節の可動性や軸圧のかかり方など変わるのかどうかが疑問に思いました。