COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年10月30日月曜日

【文献紹介】成長過程における腱付着部の力学的特性の変化

 本日は、成長過程における腱付着部の力学的特性について書かれている文献を紹介させていただきます。
 

振角 和利ら:成長過程における腱付着部の力学的特性の変化.中部整災46:405〜406,2003

 腱・靭帯の付着部は、成熟した個体では腱と骨の間にtide markを有する石灰化および非石灰化線維軟骨を介する4層構造をとるとされています。しかし、線維軟骨は生後直後では存在せず、靭帯や腱の付着部はⅡ型やⅩ型コラーゲンの発現とともに線維軟骨を介する構造を形成するため、幼若な付着部では力学的特性が異なります。

本文献では幼若な腱付着部と成熟した付着部との間の力学的特性の違いを、引っぱり試験にて比較検討しています。

 対象は日本白色家兎のアキレス腱を筋腱移行部から踵骨までを採取して用い、成熟群と幼若群の2群に分け破断強度と断裂部位の違いを検討されています。

 結果は、破断強度において幼若群より成熟群で有意に強度が強く、破断様式は成熟群では付着部および腱での断裂が約半数ずつであったのに対し、幼若群では付着部での断裂が有意に多かったと報告しています。
 このことからも付着部の線維軟骨の重要性が示唆され、成長期では腱付着部障害が関節脱臼や靭帯損傷などに合併して発生している可能性があるのではないかと著者らは考察しています。

日々の臨床においても、付着部に疼痛を訴える症例を経験することがあるため、構造を理解したうえで年齢にも考慮して評価していく必要性を改めて感じました。

投稿者:鷲見 有香

第6回関西支部合同全国研修会「足関節周囲の機能解剖学的触診と治療」ご案内


平成30年2月24日(土)・25(日)の2日間、第6回 整形外科リハビリテーション学会関西支部合同全国研修会が開催されます。

今回のテーマは「足関節周囲の機能解剖学的触診と治療」です。
足関節周囲の機能解剖学的触診はもちろんですが、治療実技の講義も充実しています。

【治療講義一覧】

講義① 足関節周辺組織の超音波画像描出〜LIVE〜
株式会社 運動器機能解剖学研究所 林典雄先生

講義② 後足部の有痛性足部疾患に対する治療展開
吉田整形外科病院 中宿伸哉先生

講義③ 足関節前方組織の機能障害により生じる可動域制限に対する運動療法〜エコーを用いた動態評価からの治療展開〜
土浦協同病院 村野勇先生

講義④ 足関節後方組織の機能障害により生じる可動域制限に対する運動療法〜骨折後の運動療法〜
桑名西医療センター 松本正知先生

ランチョンセミナー 足部アライメント・動作の評価
平針かとう整形外科 岡西尚人先生


研修会プログラム
会場:尼崎リサーチ・インキュベーションセンター
   〒660-0083 尼崎市道意町7丁目1番3

参加費:整形外科リハビリテーション学会会員23,000円、会員外25,000円

定員:100名(会員外でも参加可能です)

申込受付期間は、平成29年11月1日〜12月31日23時59分まで受付。となっています。
定員に達し次第、申込受付を終了します。

その他:

本学会認定B検定(触診技術検定)試験を同時に開催します。(会員対象)

会員でB検定を受検予定の先生は、自動返信メールの内容をご確認のうえ、改めてメールでのお申し込みをお願いいたします。なお、申込者多数の場合は抽選になりますので、ご了承ください。

>>参加申込は整形外科リハビリテーション学会全国研修会申込専用ホームページより、
下記のリンクボタンをクリックしてください。



【会場地図】


2017年10月29日日曜日

【文献紹介】大胸筋と小胸筋の筋線維の走行からみた運動療法


今回紹介させていただく文献は大胸筋と小胸筋の筋束の構成について検討された文献です。


荒川高光:大胸筋と小胸筋の筋線維の走行からみた運動療法.理学療法学37(4):203〜206,2010

対象は解剖遺体21体37側です。大胸筋と小胸筋の筋束構成を支配神経とともに詳細に観察しさらに大胸筋と小胸筋の筋束構成を骨格模型上にゴム紐を張って再現し、上肢の肢位を変えた際の筋束構成の変化を調べています。
結果は以下の通りです。
【大胸筋】
鎖骨部線維:鎖骨内側前面から外下方へ走行し、大結節稜の最も遠位に付着していました。
胸肋部線維:鎖骨部線維の深層を外側へと走行。胸肋部線維の中でも下から起始する筋束が上から起始する線維よリも後方かつ近位へと停止していました。
腹部線維:腹直筋鞘前葉から外側上方へと走行し、後面に折り返る構造をし、筋束がポケット状になっていました。
肩関節90°屈曲すると大胸筋の鎖骨部線維と胸肋部線維の間にあったねじれ構造が消失し、腹部線維はほぼ全ての筋束が平行に並びました。
【小胸筋】
小胸筋を貫いている神経を境に上部筋束と下部筋束に分け、発達度や重なり方から見て2つのタイプに分類しました。
Type1
下部筋束が主体となり、上行して烏口突起へと停止します。
上部筋束は比較的外側へと走行し、下部筋束ぼ停止腱へと付着していました。
ねじれ構造は見られませんですた。
Type2
上部筋束は下部筋束の前へと重なり、下部筋束の停止腱の表面を走行し、下部筋束よりも外側へと停止し、ねじれ構造を呈していました。
骨模型でType2の筋束を再現し、ねじれ構造が消失するポジションを探した結果、肩甲骨の上方回旋、前方突出で消失しました。

ねじれ構造が消失した肢位である90度屈曲位かつ肩甲骨前方突出、上方回旋位はスポーツ場面においても多くみます。スポーツ動作時のポイントはその後に大胸筋と小胸筋を強く使用することを必要とする肢位でもあります。肩関節90度屈曲位かつ肩甲骨前方 突出・上方回旋位をとり,そこからすべての筋線維の収縮力を 動員して,その後の活動を行っているのかもしれないと筆者は考察しています。


90度屈曲位かつ肩甲骨前方突出で大胸筋・小胸筋のねじれ構造が消失し、かつ伸張されることから90°程度の可動域制限の位置要因としてねじれ構造の消失に至っていないことが予測できます。これが可動域制限であった場合、どのような所見が取れるのか機能解剖を踏まえて考えていく必要がある感じました。

2017年10月28日土曜日

第120回 京都支部 定例会


本日、第120回 京都支部定例会を行いました。
今回は京都下鴨病院の團野翼先生に「腰椎屈曲時痛の解釈と評価のポイント」についてレクチャーしていただきました。

  

 

 

           https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhIzLwXVEWujWEVy1QR7QyBwe70b4L1w0Fafedu6k-zRWRU5xOOCka2qAJUsxQQ-MQSE02jfE4cHGFFJtcWZ24QjxzzoKXBqS1CZOojTL8vKDbnWlEj5F2VGK-5nve8ASr4AkVwoDVqXNjF/s320/IMG_7913%255B1%255D.JPG

 

   

 

腰痛はその85%が原因不明の非特異的腰痛と言われていますが詳細に評価を実施し、原因を特定してアプローチしていくことが重要であると考えます。

本日は腰椎屈曲時痛の病態についての解釈やそれらに対する評価や運動療法について実技も含め、講演いただきました。

 

 

 

 

https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEipMoSpywZ1IrAzGaa9qyvPoamMuIQsVkZpGmgmpnQ48y3VpJEfuVXdD2vKk-F_17FUECVs5k8qLmK-r5vEBfnN-UuB2X_Lo5n40PJjK-5bnO-cTj0By5VSZQoG7q49296SVxgLRhDZtCZ6/s320/IMG_7912%255B1%255D.JPG

 

 

実技は京都下鴨病院の佐々木先生に多裂筋の触診とリラクセーションのレクチャーをして頂きました。






次回の定例会は11月25日です。

当院の為沢一弘先生による「腰椎伸展時痛の解釈と評価のポイント」です。
定員は24名です。先着順になりますのでお早めにお申し込みください。

 

2017年10月25日水曜日

【文献紹介】内側半月中後節移行部横断裂のMRI所見

 今回は膝関節内側半月板中後節移行部横断裂時のMRI所見において、特徴的な所見が無いかを検討されている文献を紹介させていただきます。



本山達男他:内側半月中後節移行部横断裂のMRI所見. 整形外科と災害外科.65(2).199-202.2016







MRI所見読影の基準として、冠状断はT2、矢状断はプロトン強調像にて撮像された画像で行われており、51例51膝の内側半月板中後節移行部横断裂と診断された症例の術前MRIにて検討されています。


 冠状断で最も多かった所見は、中後節移行部のスライスで正常半月板を描出した後、後方へスライスを移動させると、内側半月板の大部分で高信号が描出されていました。その後さらに後方へスライスを進めると、再度正常半月板が描出されるというもので、全体の62.7%で認められていました。(下図参照 文献より引用)




矢状断に関しては、内側半月板辺縁を描出しているスライスで横断裂様の高信号が全体の52.9%で認められていました。



内側半月板中後節移行部の損傷は、後角損傷についで損傷頻度の高いとされており、正確な画像診断が重要と諸家の報告でも見受けられますが、特徴的なサインなどは確立されていません。
 筆者は今回冠状断で大部分高信号を一時的に認めた部分をvanishing signと仮定し、同部位での画像診断の特定方法として考案されていました。



 しかし、本研究の及第点として、感度は高いが特異度は低いという点でした。特異度とは “陰性のものを正しく陰性と示す” 値であることはみなさん言うまでもないでしょう。

 つまり、MRIでは横断裂が認められたが、同部位の横断裂が関節鏡にて観察すると認められい可能性が大いに有り得るということです。



 我々理学療法士は関節鏡にて自ら関節内の状態を把握することは不可能です。そのため、画像所見を駆使し、患者様の状態を把握するスキルがとても重要になることは、日々の臨床での痛感しております。
 半月板に関しては有用な整形外科的テストも多数報告されており、諸家の報告では各検査の感度や特異度についても報告されています。


治療技術だけではなく、そこに至るまでの評価技術の一つとして、画像読影方法について知識を深めていく事の重要性を再認識することができました。



投稿者:高橋 蔵ノ助









































































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