振角 和利ら:成長過程における腱付着部の力学的特性の変化.中部整災46:405〜406,2003
腱・靭帯の付着部は、成熟した個体では腱と骨の間にtide markを有する石灰化および非石灰化線維軟骨を介する4層構造をとるとされています。しかし、線維軟骨は生後直後では存在せず、靭帯や腱の付着部はⅡ型やⅩ型コラーゲンの発現とともに線維軟骨を介する構造を形成するため、幼若な付着部では力学的特性が異なります。
本文献では幼若な腱付着部と成熟した付着部との間の力学的特性の違いを、引っぱり試験にて比較検討しています。
対象は日本白色家兎のアキレス腱を筋腱移行部から踵骨までを採取して用い、成熟群と幼若群の2群に分け破断強度と断裂部位の違いを検討されています。
結果は、破断強度において幼若群より成熟群で有意に強度が強く、破断様式は成熟群では付着部および腱での断裂が約半数ずつであったのに対し、幼若群では付着部での断裂が有意に多かったと報告しています。
このことからも付着部の線維軟骨の重要性が示唆され、成長期では腱付着部障害が関節脱臼や靭帯損傷などに合併して発生している可能性があるのではないかと著者らは考察しています。
日々の臨床においても、付着部に疼痛を訴える症例を経験することがあるため、構造を理解したうえで年齢にも考慮して評価していく必要性を改めて感じました。
投稿者:鷲見 有香