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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年10月23日月曜日

【文献紹介】結帯動作に影響する肩関節可動域制限

本日紹介させていただく文献は結帯動作と肩関節可動域の関連を検討した文献です。


日比野敏也他:結帯動作に影響する肩関節可動域制限.愛知県理学療法士会17(2):
50-51,1991

目的は結帯動を制限している肩関節可動域について検討することです。
対象は五十肩症例31症例で著しい疼痛が出現していない症例です。
結帯動作にてヤコビー線を基準に容易に指尖が超える群、可能群、不可能群の3群に分けて検討されています。
方法は結帯高位はL5からの母指の指尖の距離(L5-TD)の測定と肩関節可動域は可動域測定は屈曲、伸展、外転、1st外旋、3rd内旋、3rd外旋、45°内旋、45°外旋を測定しています。
結果はL5-TDは容易群>可能群>不可能群の結果で値が大きかったと報告しています。
L5-TDと可動域の関係は、以下の通りでした。
・強い相関を認めた:45°内旋、外転、3rd内旋
・相関を認めた:内転、45°外旋、伸展、屈曲
諸家は屍体を用いた検討で下垂位内旋では関節包の後方、挙上位では下方の関節包が緊張すると報告してます。また骨モデルを用いた検討では、同様に体側位での内旋では後方が、挙上位での内旋において下方の関節包が肩関節制限因子になると報告しています。これらの報告と今回の検討の結果で45°外転位の内旋と結帯動作と強い相関が見られたことから筆者は結帯動作のは肩関節後方・下方の軟部組織の伸張性が要求されていると考察しています。

結帯動作は肩関節伸展、内転、内旋で遂行される動作であると報告されています。運動軸で考えると屈伸軸の前方、内外転軸の上方、内外旋軸の後方の組織が制限因子となると考えられ、文献的な報告でも後上方組織が制限因子となるとの報告をみます。今回紹介させていただいた文献では45°外転位での内旋で強く相関を認めており、後方組織だけではなく下方組織の伸張性が必要になると述べられています。後上方の拘縮を除去しても結帯可動域制限や疼痛が残存する症例を経験します。これらの症例に対して伸展可動域の獲得(前方組織の伸張性)が不足していることで症状消失に至らないと考えていましたが、この文献から下方組織にも目も向けていく必要があると感じました。



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