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2017年8月9日水曜日

【文献紹介】Mikulicz lineとFTAの関係−OAの要因−

 変形性膝関節症には様々な原因が関与していると報告されていますが、その中には大腿骨の外弯変形が関与するという報告もあります。

 しかし、実際の臨床では、大腿骨外弯変形をきたしている患者様のOAの進行度は必ずしも高いとは言い切れないことが多々あります。また、主にTKAHTOを行う際に基準とされる数値は、%Mikulicz lineFTAが主流となっています。

 そこで今回は、膝OAの成因がMikulicz lineFTAにどのような相関があるのかを検証した文献を紹介させていただきます。



松下任彦他:Mikulicz lineFTAの関係−OAの要因−.整形外科と災害外科.66(2).262-266.2017



 観血的治療が適応とされ、手術を施行された原発性内側型OA100下肢を対象に行われ、測定項目は、単純X線立位全下肢長尺画像にて%MAFTA、大腿骨弯曲率、脛骨弯曲率、K-L分類の5項目とされており、各項目間の相関の有無を調査されています。

 結果は、大腿骨弯曲率とK-L分類に相関は認められなかったが、大腿骨外弯がない場合でもK-L分類が高い傾向もありました。また、大腿骨外弯例では、K-L分類glade3の割合が多くなっていました。
 大腿骨外弯はFTAよりもMikulicz lineとより強く相関していましたが、K-L分類に関してはFTAとより強く相関を認めていました。


 今回の研究から、大腿骨外弯変形が膝OAの原因となっているのではなく、膝OAにより、大腿骨が外弯変形をきたす可能性が高いことが考えられます。
 大腿骨が外弯変形する原因として考えられることは、OAの進行を抑えるため、関節内荷重を外側へ移動させようとする生理的変化ではないかということが考えられます。

 以上のことから、私たち理学療法士は、骨形態の修復を行うことはできませんが、今回のような大腿骨の外弯変形などは、立位バランスの改善を理学療法で行うことにより、変形の遅延が見込めるのではないかということが考えられます。


 この患者様は手術せずに理学療法で対処・改善が見込めないか。手術を行わないのであれば、どこが原因となって症状が出現しているのか。
 理学療法評価だけではなく、今回のような画像所見からも考察できるようにならなければならないことが、改めて考えさせられた文献でした。


投稿者:高橋 蔵ノ助

 

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