本日紹介させていただく文献はTHA前後での矢状面アライメントの変化について検討された文献です。
小山博史他:人工股関節全置換術前後における変形性股関節症患者の脊椎・骨盤矢状面アライメント.中部日本整形外科災害外科学会雑誌(58)5:885-886,2015
対象は股関節OAによって初回THAを施行した100股です。
片側股関節OA、両側股関節OAの両群を骨盤前傾、中間位、後傾の3つに分けています。
自然立位を矢状面よりX線撮影し計測しています。
検討項目は胸椎後弯角、腰椎後弯角、垂線よ股関節軸との距離、sagittal verteical axis、骨盤傾斜、pelvic tiltで術前後で検討されています。
結果は全群において術前後で有意差を認めなかったと報告しています。
過去の報告と同様に片側股関節OA症例において術後骨盤が後傾傾向、global alignmentの後方移動が見られたましたが、今回の検討では有意差が見られなかったと述べており、global alignmnetに対するTHAの効果や影響は少ないと述べています。
今回紹介させていただいた文献は矢状面アライメントに対するTHAの影響は少ないと述べていますが、この要因として術前の拘縮のが大きく関与している思います。構造の破綻による疼痛や可動域制限は消失していても拘縮は残存していると考えられます。THA後の症例において術後の拘縮予防はもちろん、術前より残存している拘縮に対しても治療を行なっていく必要があると思いました。
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
人気の投稿
-
本日は、足の支帯が有する機能について報告された文献を紹介します。 Carla Stecco et al:The Ankle Retinacula.Morphological Evidence of the Proprioceptive Role of the Fa...
-
Straight Leg Raising test(以下SLRテスト)は腰椎椎間板ヘルニアなど腰下肢痛を評価する有名な検査手技であり、皆さんもよくご存じだと思います。 カルテなどにSLRテスト陽性またはSLR(+)と記載していることがあります。しかし、SLRテストを行った際に...
-
今回は膝関節筋の肉眼解剖学的観察についてです。 安岡武紀:膝関節筋の肉眼解剖学的観察‐膝関節筋の形態と中間広筋および膝蓋上方との関係‐ 久留米医会誌雑誌.Vol 74 , 14-22, 2011 今回は、中間広筋の深層に存在する膝関節筋の肉眼...
-
文献紹介 大腿骨転子部骨折において後外側支持欠損が lag screw sliding に与える影響 (徳永真己・他 : 骨折 第35巻、98-102、2013) 大腿骨転子部骨折をshort femoral neck (SFN) で...
-
本日は、深臀部症候群(Deep gluteal syndrome 以下 DGS)に関与する 臀部ス ペース内の坐骨神経絞扼 について一部紹介させていただきます。 深臀部症候群(Deep gluteal syndrome 以下 DGS)は、 坐骨神経の...