この論文では、ヒトの皮下及び深筋膜下の脂肪筋膜組織の組織形態および構造を全身的に観察されており、その形態や身体各部位での構造の違いに基づいて脂肪筋膜組織の機能的役割を検討されています。
一般的には浅筋膜は皮下から深筋膜に至る脂肪組織と結合組織をまとめたものだとされていますが、この論文では皮下の膜上の筋膜を浅筋膜とされています。
皮下の脂肪組織と結合組織の構造としては、浅筋膜を挟んで浅層と深層に分けられそれぞれで役割が異なると報告されています。
また、深筋膜下にはLAFSと呼ばれる組織が存在し、主に関節運動や各筋肉固有の伸縮運動を円滑にしているとされています。このLAFSは三角筋と大臀筋では筋と骨格の間で発達しており、運動の潤滑性を補助していると考えられています。
この論文を読んで、組織の滑走性を維持することは可動域制限を生じさせないためにも必要なことです。各組織の特徴や構造を理解しておくことは理学療法を行う上でも必要なことであり、術後の癒着を生じさせないためにも知っておいても良い知識ではないかと感じました。
投稿者:団野翼