COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年4月12日水曜日

【文献紹介】膝関節後外側支持機構とPCLの内反制御機能について

今回は献体を用いた、膝関節後外側支持機構と後十字靭帯(以下PCL)の内反制御機能について検証された文献を紹介したいと思います。






須田 康文ら:膝関節後外側支持機構および後十字靭帯の内反制御機能について 日本臨床バイオメカニクス学会誌、Vol.21,2000.


この研究では新鮮凍結屍体膝12関節(男性8、女性4)を、各関節を自由度5の運動を許容する作者ら考案の実験装置に固定して使用しています。また、膝関節0°、15°、30°、60°および90°それぞれにおける前後方向、内外旋、内外反中間位を決定し、各屈曲角度ごとに重錘および滑車を用いて12Nmの内反トルクを負荷し、その際に生じた大腿骨の前額面に対する回旋量を膝関節内反量と定義して計測されています。内反制御機能を評価する組織としてはPCL、後外側支持機構を外側側副靭帯(以下LCL)PLC(後外側複合体)2つに分けて観察しています。
また、靭帯を切離する順番をLCLPLCPCLPLCPCLLCLPCLLCLPLC3つのグループに分けて、観察しているとも報告されています。

結果は、LCLのみ全可動域で内反量の増加を認め、特に0°から60°での範囲で大きく内反量の増加を認めています。PCLPLCのみの切離では大きく内反量は変化せず、PCLPLCの両方を切離した時は屈曲90°で内反量の増加を認めたが、変化量は小さかったと報告しています。
また、LCLの切離が加わると全グループで内反量の有意な増加がみられ、LCL切離後のPCLPLCの切離で有意に内反量が増加することも報告しています。

この結果から、膝関節屈曲60°までではLCLが内反制御因子として重要であることが考えられます。また、60°から90°の範囲においてもLCLの機能は重要ではありますが、PCLの切離で内反量が増加していることから、LCLに次いでPCLの内反制御機能が重要であることを示唆していると考えます。
臨床において、変形性膝関節症など内反変形がみられる症例は少なくありません。どの組織により外側の不安定性が出ているのか、評価し、考察していくことは重要であると思います。ストレステストなどを行うにあたって、どの肢位で何を評価しているのかを考えて実施することが重要だと改めて感じました。評価一つ一つの正確性を向上させていくことが病態を解釈する上で重要になるかと思います。
また、今回はPLCとまとめて観察していましたが、PLCのそれぞれの機能についても勉強していきたいと思います。



投稿者:天鷲翔太

【文献紹介】膝窩筋の位置と機能からみた膝窩部痛の発生機序


今回は、膝窩部痛の発生機序を、膝窩筋の位置と機能から見た文献について紹介させて頂きます。




国中優治ら:膝窩筋の位置と機能からみた膝窩部痛の発生機序 第41回日本理学療法学術大会2006429

 


対象は、某大学院の研究分野の御遺体で、大腿骨・脛骨の可動性が充分保証されている右膝1関節を用いて行われており、検証内容は以下の通りとされていました。

1)脛骨に対し大腿骨を最大伸展位から最大屈曲位に可動し、その際の膝窩筋腱の動態及び筋が伸張し始める膝関節角度を計測した。

2)脛骨に対し大腿骨を内外旋し、膝窩筋腱の緊張を観察した。

3)膝窩筋腱の起始部を大腿骨外側顆部にて精査した。

 

結果は

1)0°から60°屈曲では後下方から上前方に斜走する膝窩筋腱が長軸方向に伸張された。60°から100°屈曲では膝窩筋腱は伸張されず、大腿骨外側顆部の転がりにて起始部が後方移動し、腱の長軸が垂直位となった。その後弛緩状態が120°まで続き、120°から最大屈曲位では、大腿骨外側顆部の回転軸を中心に膝窩筋腱起始部が上方に移動し垂直方向に伸張された。

2)膝窩筋は大腿骨の脛骨に対する内旋で緊張し、外旋にて弛緩した。

3)膝窩筋腱起始部は、大腿骨外側顆部膨隆部にある回転軸(LCL付着部)の下方であった。

と報告されています。

 

今回の研究から、膝窩部痛は膝窩筋が伸張されやすい初期屈曲時と最終屈曲時で生じやすいと示唆されています。

膝窩筋に関しての研究はこの他にも多数あり、今後もさらなる解剖の知識を身に付け、臨床現場で活かしていきたいと思います。



 

投稿者:高橋 蔵ノ助

2017年4月11日火曜日

【文献紹介】成長期の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎


今回、紹介する文献は成長期の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎についてです。


高原政利ら:成長期の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎について 骨・関節・靭帯1811号:985-990,2005.11

 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)は少年野球の競技者に多く、その罹患率は約2%であると報告されています。対して、上腕骨内側顆裂離は約20%と内側に症状を訴えることが多い傾向にあるようです。しかし、OCDの発生頻度は高くないものの、損傷の程度によっては手術治療の対象となります。初期は自覚症状を訴えないことも多く、医療機関を受診した時点では病期の進行しているケースが多くあるようです。OCDは骨端の成長期に発症するとされていますが、発症時の病態については不明な点も多く、今回筆者らは小頭の骨端線が開存している症例を対象として、その病態を検討しています。

 対象はOCDのうち骨端線閉鎖前の症例15例であり、全例男性で年齢は平均123ヶ月でした。OCDX線分類において透亮型が9例、分離型が6例。初期治療で保存が11例、手術が4例。経過観察期間は平均2.7年でした。検討項目としては①有症期間と発症年齢②内上顆裂離の合併の有無。その他3項目と合わせて5項目で調査しています。

 結果は症状出現時の年齢は平均117ヶ月であり、全例に内上顆の異常を認め、内上顆の裂離は14例、1例は変形治癒を認めたと報告しています。内上顆に裂離が生じると投球時の外反が増強する可能性があり、その結果、上腕骨小頭に圧迫力と剪断力が加わりOCDの発症に関わるのではないかと考察しています。

 今回の報告から投球時に肘の外側部に疼痛を訴える患者さんに関しては、まず疼痛の病態として、軟部組織由来の疼痛なのか骨性の疼痛なのかを評価することはもちろんのこと、症状がなくても内側部の評価を行う重要性を学びました。どのような形で上腕骨小頭に機械的ストレスが生じるのかを念頭に外側部および内側部、また投球フォームについても指導するべき項目の1つでもあると思いますので、臨床現場で実践していきます。

投稿者:服部隼人

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