大渕ら:前腕回内回外運動時の腕橈関節の接触圧分布.日本臨床バイオメカニクス学会誌.Vol.21,2000
前腕長軸荷重の伝達時の荷重の割合や肢位による変化について一定の見解が得られていない。このことから前腕骨に長軸荷重を加えながら回内外運動を行った際の腕橈関節の接触圧分布の変化を測定し検討することを目的にされています。
新鮮屍体上肢3肢を使用し、近位は上腕骨頭、遠位は各中手骨骨頭までで切断されています。
皮膚および方形回内筋を除く筋肉を除去し、TFCCや関節包、靭帯は温存されています。
腕尺関節を90°屈曲位で固定し、各回内外筋の走行に沿うようにワイヤーを張って回内外運動を再現されています。
報告では最大回内位では上腕骨小頭の中央内側に圧力は集中しており、最大回内位から中間位に回外していくとともに圧力は上腕骨小頭中央へ移動し、中間位では上腕骨小頭中央からやや内側に圧力が集中していたとされています。
中間位から回外するとともに上腕骨小頭外側後方へ圧力の移動を認め、最大回外位では外側後方部分に圧力の集中を認めたとも報告されています。
また、伝達荷重は回内位が強くなるとともに増加する傾向で、最大回内位で最大値となったとも報告されています。
報告から軸圧が回内で最もかかることが分かり、最も軸圧のかかる部位も分かりました。
この報告以外にも腕橈関節にかかる圧については報告されているので他の文献も読んでみようと思います。
臨床では骨折の症例を考えるときに、受傷機転からどのようなストレスが加わり骨折したのかを考えます。そのストレスが加わらないように理学療法を進めることはもちろんですが、骨折周囲の軟部組織について考えるときにも重要になると考えられます。
明日からの臨床に活かしていきたいと思います。