COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2023年4月1日土曜日

【論文紹介】腰椎不安定性はどの程度で臨床症状に関与するのか?

腰椎不安定性の定義や程度の指標が不明確だったため調べています。 




【背景】
腰椎の不安定性は症状発現に関与する重要な因子と考えられているが腰椎不安定性の定義や 診断基準については、いまだに一定の見解が得られていない。
現実的な不安定性の評価は、前後屈と側屈における機能撮影法に限られてきた動的な不安定性因子である前後屈での椎体動揺性と椎間可動角に関しては,臨床症状との関連性はいまだ明らかでない。

【目的
腰下肢症状のある患者において L4/椎間でこの つの動的不安定性因子を調査し、臨床症状との関連性を検討することである

【対象および方法】
年間に腰下肢症状を主訴に当科を受診し、前後屈像を含む腰椎 線撮影を行い、保存的加療を施行した患者1,647 例である。このうち症状や 線計測に影響すると考えられる症例(121 例)を除外した 1,090 例 を対象とした。これらの L4/椎間において、前後屈像での椎体動揺度、および椎間可動角を計測した。これらの症例に対し、前後への椎体動揺度を 3 mm、椎間可動角を 10°の組み合わせで群分けし,群:椎体動揺度 3 mm 以上,椎間可動角 10°以上,群:椎体動揺度 3 mm 以上,椎間可動角 10°未満,群:椎体動揺度 3 mm 未満,椎間可動角 10°以上,群:椎体動揺度 3 mm 未満,椎間可動角 10°未満,の 群に分類した.
年齢差が臨床症状に影響を与えている可能性があるため、対象症例 1,090 例全体における 4群間の比較検討を調査 とし、年齢をマッチさせた比較を調査 とした。臨床症状は初診時の JOA スコアのうち日常生活動作項目と膀胱機能点数を除いた 15 点満点で評価した。さらに初診時以降の経過について電 話によるアンケート調査を行った。追跡調査時の臨床症状は JOA スコアのうち自覚症状の 点満点で評価した。


【結果】
4群間比較(調査 )
初診時の JOA スコアでは,群が 群,群 と比較し有意に点数が低く,また 群は 群に比 べ点数が低い傾向がみられた。腰痛では 群が 群 に比べて有意に点数が低く,下肢痛では 群,群がそれぞれ 群に比べて有意に低い点数であった。歩行能力では 群が 群,群と比較し有意に点数が低かった。他覚症状では,知覚にて 群が 群,群に比較し有意に 点数が低かったがSLR(下肢伸展挙上テスト)および筋力では有意差は認めなかった。


調査 2
初診時の JOA スコアでは,群と 群は 群 と比較して有意に点数が低かった。項目別にみると、下肢痛で 群が 群,群に比べて有意に低い点数であった。しかし,腰痛と歩行能 力では差はなかった。他覚症状では、知覚において 群が 群,群に比較し,有意に点数が低かった。調査時の JOA スコアでは,群が 群と に比べて有意に点数が低かった。項目別で は,腰痛で 群が 群に比べて有意に点数が低く,下肢痛では 群が他の 群に比べて有意に点 数が低かった。また初診時以降の症状の出現頻度も 群が他の 群に比べて有意に多かった。


椎体動揺度と椎間可動角における 2群間比較 
椎体動揺度が 3 mm 以上と 3 mm 未満の 群間 の比較では,3 mm 以上の椎体動揺度を有する症 例は 172 例(15.8%)であった。平均年齢は 3 mm 以上が 47.7±19.3 歳,3 mm 未満では 47.3±17.7 歳で,年齢に有意差は認められなかった.臨床症状の比較では,初診時 JOA スコアと自覚症状の3項目すべてにおいて,3 mm 以上の群 で有意に点数が低かった。椎間可動角が 10°以上と 10°未満の比較では,10°以上が 155 例(14.2%)で 平均年齢が 39.9±19.1 歳,10°未満が51.6±16.4 歳で,10°以上の症例が有意 に年齢が若かった。臨床症 状の比較ではすべての検討において有意差はみられなかった。また椎体動揺度と椎間可動角とは弱い順相関を示した。


【結論】
椎間可動角が 10°以上の症例は,10°未満と比べて有意に年齢が若く,若年者では椎間可動性 が大きかった。
前後方向への 3 mm 以上の椎体動揺度と 10°以上の椎間可動角は,ともに臨床症状に影響 を与える因子であった。
3 mm 以上の椎体動揺度は単独で症状に影 響を与える因子であり,10°以上の椎間可動角は単独では影響しないが,椎体動揺性に合併した場合に症状を増強,持続させる因子であると考えら れた。


X線学的評価から臨床症状を予測するためのある程度の指標を学びました。X線学的評価と理学所見で病巣の高位診断を行っていきます。




投稿者:尼野将誉














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