本日は上腕回旋動脈の解剖学的知見について述べられている文献を紹介します。
魚水ら:前・後上腕回旋動脈の起始、走行、分布に関する解剖学的知見.肩関節37(3):911−913,2013
本日は上腕回旋動脈の解剖学的知見についてです。上腕回旋動脈は腋窩動脈から分枝する前上腕回旋動脈と後上腕回旋動脈からなり、上腕骨頭や肩関節を栄養しています。前上腕回旋動脈は夜間痛との関連している事や骨頭壊死が後上腕回旋動脈損傷との関連している事など臨床との関わりも深いです。本論文は上腕回旋動脈の走行、分布を肉眼解剖の手法を用いて解析することを目的としています。
臨床上、上腕骨近位端骨折の症例を経験する事があるため、関連があるとされる後上腕回旋動脈について着目してみると、起始は腋窩神経から直接出るものや前上腕回旋動脈との共同枝から出るものなど個体差があるが、動脈の末端は三角筋に停止すると報告されています。
このことから、三角筋は後上腕回旋動脈により栄養されており、動脈が損傷されると三角筋に特徴的な所見を認めるのではないかと考察しました。X線所見からも後上腕回旋動脈の損傷が予測できるため併せて評価を行い、臨床で生かしていきたいと思いました。
投稿者:中井亮佑