杉本ら:MRIによる診断の基本 関節外科vol.34 No10 2015
この文献では初めに腱板の解剖について、特に棘上筋(以下SSP)と棘下筋(以下ISP)の停止部であるsuperior facetにそれぞれがどのように停止するのかを詳細に解説してあります。また、MRIの斜位冠状断像と矢状断像に投影される2つの筋を腱板のシェーマを用いて記載されています。過去の腱板断裂に対するMRIの読影については多数報告があるのですが、ここでは関節包面側組織が密になった腱板と直行するrotator cableについてもどの部分に投影されるのかを報告されています。
Rotator cableの前方はSSP、肩甲下筋(以下SSC)に後方はISPに付着するとされ、3テスラ(T)のMRIでおよそ3/4の症例において、SSPとISP下面の線状低信号構造として認識できると記載されています。このrotator cableを含む断裂では手術適応になりやすいと考察されています。文献の中に実際の腱板断裂を呈した症例のMRIの記載があり、どの部分がrotator cableなのかをわかりやすくマークされています。
当院には腱板断裂と診断された患者さんが多数おられ、日々の臨床でよく関わりがある疾患の一つです。MRIから得られる情報は多く、実際の理学所見と照らし合わせることでそれぞれの病態を把握できると思います。的確にMRIを読影できるよう知識の向上と数多くのMRIを読影し、運動療法の選択につなげられればと感じました。
投稿者:服部隼人