COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年9月27日日曜日

第5回関西肩コラボレーションミーティング



本日第5回関西肩コラボレーションミーティングが開催されました。
「コリジョンスポーツにおける肩脱臼後の競技復帰どうするか?」をテーマに
・吉村 直心先生(やまぎわ整形外科 リハビリテーション科 科長 理学療法士)

・菅原 順二先生(株式会社arancia 代表取締役 NSCA-CSCS

・八木 茂典先生(東京関節外科センタースポーツリハビリテーション部 部長 理学療法士)

・川崎 隆之先生(順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科 肩関節診グループ 助教 医師)
の4名の先生方が講演してくださいました。
 
コリジョンスポーツの中でもラグビーを中心に、競技特性、肩関節が脱臼しやすいプレー、どのように脱臼するのか、損傷によりどういった術式を選択するかなど機能解剖を交えながらお話してくださいました。

各先生の講演後は、競技復帰するために重要なこと・コリジョンスポーツで脱臼した場合どの術式を選択するかなどをテーマにスマホアプリclickest(クリッケスト)」を使用して会場内の意見を踏まえて一括討論をしてくださいました。

一括討論では会場内の医師・セラピストの先生方からの質問で熱い討論が行われ、各先生方の競技復帰するためにどういった運動療法をしていくべきか・競技復帰できるにはどういう評価が必要なのかなど貴重なお話をたくさん聞くことができました。

講演を聞いて、競技特性を理解することの重要性、医師・トレーナーの先生方との患者情報の共有についての重要性を改めて感じることが出来ました。今回の経験を少しでも臨床で活かせるよう日々努力していきたいと思います。

2015年9月26日土曜日

腱板断裂におけるMRIでの診断の基本

 今回、紹介する文献は今月に発売された関節外科より、特集である腱板断裂の診断と治療の中からMRIによる診断の基本についてです。


杉本ら:MRIによる診断の基本 関節外科vol.34 No10 2015

 この文献では初めに腱板の解剖について、特に棘上筋(以下SSP)と棘下筋(以下ISP)の停止部であるsuperior facetにそれぞれがどのように停止するのかを詳細に解説してあります。また、MRIの斜位冠状断像と矢状断像に投影される2つの筋を腱板のシェーマを用いて記載されています。過去の腱板断裂に対するMRIの読影については多数報告があるのですが、ここでは関節包面側組織が密になった腱板と直行するrotator cableについてもどの部分に投影されるのかを報告されています。

 Rotator cableの前方はSSP、肩甲下筋(以下SSC)に後方はISPに付着するとされ、3テスラ(T)MRIでおよそ3/4の症例において、SSPISP下面の線状低信号構造として認識できると記載されています。このrotator cableを含む断裂では手術適応になりやすいと考察されています。文献の中に実際の腱板断裂を呈した症例のMRIの記載があり、どの部分がrotator cableなのかをわかりやすくマークされています。

 当院には腱板断裂と診断された患者さんが多数おられ、日々の臨床でよく関わりがある疾患の一つです。MRIから得られる情報は多く、実際の理学所見と照らし合わせることでそれぞれの病態を把握できると思います。的確にMRIを読影できるよう知識の向上と数多くのMRIを読影し、運動療法の選択につなげられればと感じました。


投稿者:服部隼人


2015年9月21日月曜日

第24回整形外科リハビリテーション学会学術集会

昨日、今日と整形外科リハビリテーション学会の学術集会が開催されました。

京都下鴨病院からは、竹下先生、團野先生、中井先生と私、為沢が発表し、一志先生が座長を務められました。


1日目


竹下真弘先生
「橈尺骨遠位端骨折術後、前腕回外制限が残存した一症例」





團野翼先生
Reverse shoulder arthroplasty後に生じる疼痛の解釈
  〜上腕外側と肩後下方に疼痛が出現した症例を経験して〜」






2日目



中井亮介先生
「長距離ランナーに生じた恥骨結合炎の解釈と運動療法」






為沢一弘
「腸骨下腹神経外側皮枝の絞扼が考えられた症例に対する理学療法の経験」 






一志有香先生
「セクション膝」座長


今回は、珍しい症例が多かったですが、みな堂々とわかりやすくそれぞれ努力の跡が伺える発表であったと思います。


例年通り、とても熱い討論がなされるとともに、年々内容もレベルが高くなって来ているように感じます。
周囲のレベルの高さにとても良い刺激をもらうことができたので、より知識を高められるよう努力を続けて行こうと思います。
また、今回勉強したことを明日からの臨床に活かしていきたいです。

今回の発表にあたり、ご指導をいただいた小野志操先生、永井教生先生をはじめ、当院の発表に対してご意見・ご指導を下さった先生方、大会の運営に携わって下さったスタッフの皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

これからも京都下鴨病院、ならびに京滋支部をよろしくお願いします。




また、来週日曜日には第5回関西肩コラボレーションミーティング(KKCM)が開催されます。
内容は京滋支部ホームページをご確認下さい。



投稿者:為沢 一弘

2015年9月16日水曜日

三叉神経痛・大後頭神経痛

今回は、「三叉神経痛・大後頭神経痛」についての文献を紹介させていただきます。



三叉神経痛や大後頭神経についてですが、三叉神経痛は、激しい疼痛を伴い頻度は10万人に4~5人程度であるとされている。症状としては、三叉神経の各分枝または、全領域に突発的に激痛や電撃痛が生じ、数秒後に消失するものであると報告されています。
大後頭神経痛は、後頭部の激しい痛みや時に三叉神経領域の疼痛を伴うものであり、圧痛部位は僧帽筋の起始部である上項線上で外後頭隆起の2.5cm外側、後頭動脈の拍動触知部のすぐ内側にあるとされています。
この文献では、三叉神経痛や大後頭神経痛の診断方法や治療方法が記載されています。また、鑑別すべき疾患についても記載されています。
普段の臨床でも頭痛を訴える方もおられますが、その頭痛が何から生じているのかが解らず評価や治療がされていない場合も多いと思います。
当院では、大後頭神経由来の頭痛が生じているのではないかと考えられる症例の方に対して理学療法を行うことで頭痛が改善することもあります。
どのような症状でも評価をしっかり行い、理学療法士として対応出来る症状なのか、対応することが困難な症状なのかを把握することが重要だと感じています。


投稿者:団野翼

2015年9月12日土曜日

整形外科リハビリテーション学会 学術集会

整形外科リハビリテーション学会主催の学術集会が1週間後に迫ってまいりました。

当院では本日、学術集会に向けて最終の予演会が行われました。
本日は休みの永井教生先生も出席していただき、

本日は休みの永井教生先生も出席していただき、

本日は休みの永井教生先生も出席して下さり、夕方の業務終了後に開始しました。

当院からは、4人が発表、1人が座長として参加させていただきます。



「橈尺骨遠位端骨折術後、前腕回外制限が残存した一症例 」 竹下真弘先生

Reverse shoulder arthroplasty後に生じる疼痛の解釈
  〜上腕外側と肩後下方に疼痛が出現した症例を経験して〜」 團野翼先生

長距離ランナーに生じた恥骨結合炎の解釈と運動療法」 中井亮介先生

腸骨下腹神経外側皮枝の絞扼が考えられた症例に対する理学療法の経験」 為沢一弘

「セクション膝」座長:一志有香先生


どの演題も興味深く、良い発表になりそうです。
それぞれ、発表に向けて、内容やスライドの見やすさ、話の流れなどをよりわかりやすくするため、多くの意見をいただきました。
今日いただいた意見を元に、来週に向けての最終調整を進めていこうと思います。
日本一熱い討論がなされる学会ですので、ご興味がおありの先生方は是非ご参加下さい。


整形外科リハビリテーション学会 学術集会 9月20日・21日開催




また、その翌週には、今回は当院が幹事を務めさせていただくKKCM(関西肩コラボレーションミーティング)が開催されます。
そちらもよろしくお願い致します。


投稿者:為沢一弘

2015年9月9日水曜日

肩関節包肩甲骨側付着部の解剖学的調査

今回は「肩関節包肩甲骨側付着部の解剖学的調査」について記載されている
文献の紹介をします。








この文献の目的としては肩関節不安定症に対する診察や画像検査、手術治療を行う際に関節包の関節窩側付着部の解剖学的付着形態を明確にするために行われている研究となります。
また、関節包の肩甲骨関節窩側付着部の形態を上腕三頭筋長頭と関連させて肉眼解剖学的に調査されています。

結果は、関節外から間擦すると上腕三頭筋長頭と関節包の線維との間には連続性が認められ、関節包関節窩側付着部を剥がすと連続性が認められ、上腕三頭筋長頭腱を下包から牽引すると関節包下部に緊張が伝達されたとされています。
このことより、上腕三頭筋長頭は上腕骨頭の下方に対する安定性に関与していると考えられています。
また、関節包を下方に引き下げることで関節内へのインピンジメントを回避できるのではないかと報告されています。

実際の臨床においても、上腕三頭筋長頭は肩関節挙上の制限にもなると感じていますし、肩関節伸展や内転時に肩後下方に疼痛が出現する症例も経験したことがあり、注意深く上腕三頭筋長頭を診ていく必要があると改めて感じました。



投稿者:団野翼



2015年9月5日土曜日

ACLの機能不全が軟骨病変に与える影響について

今回は、ACLの機能不全が膝の軟骨病変やOAの進行に与える影響について書かれた文献を紹介させていただきます。

碇ら:JOSKAS vol.37:62-63,2012


この文献では、ACLとantero medial
OAとの関連について、TKA施工前の症例をACL良好群と不良群に分けて比較した際に、ACLの状態で膝内側のどの部分に軟骨病変が存在するのかを調査されています。


結果として、ACL良好群では前内側に軟骨病変を認め、ACLが不良になるほど、軟骨病変が後内側に進む傾向にあったとされています。


必ずしもACLの状態が膝OAの進行や、前内側から後内側への軟骨病変が進む機序に当てはまるわけではないとは思いますが、臨床でもACL損傷後に保存か手術かを悩まれて相談されてくる患者様をよく目にするので、お話をする時に持っておいてもいい1つの知識なのではないか。とは感じました。


投稿者:為沢 一弘

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