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2015年4月25日土曜日

烏口上腕靭帯の肩甲下筋腱付着部に関する解剖学的研究について

 今回は烏口上腕靭帯(以下CHL)の肩甲下筋付着部に関する解剖学的研究についての文献を紹介します。

吉村英哉ら:烏口上腕靭帯の肩甲下筋付着部に関する解剖学的研究:その意義について
肩関節.2011;35巻第3号:707-710

CHLは腱板疎部を覆う組織であり、上方は棘上筋、下方は肩甲下筋に接しています。その解剖学特徴として、過去の報告の中にCHLが腱板疎部を越えて棘上筋に停止するといわれています。しかし、肩甲下筋との位置関係についての報告は少なく、本文献では肩甲下筋付着部を肉眼解剖にて観察し、また上腕骨の位置によるCHLの形態の変化についても検討されています。

 結果として烏口突起基部より起こる線維は肩甲下筋腱最上部の前面および後面に挟みこむように付着し、肩甲下筋上での広がりについては、上方は関節窩を超えて近位内側へ、下方は小結節を超えて肩甲下筋下部筋性部の停止まで及んでいたと述べられています。
次に上腕骨の位置によるCHLの形態の変化では、肩関節伸展位において肩甲下筋に付着する線維は緊張し、一方棘上筋に付着する後方の線維は弛緩したと述べられています。


 肩関節拘縮の主な要因のひとつにCHLの線維化が挙げられ、特に外旋制限の原因となるといわれていますが、今回の文献からCHLは肩甲下筋の前面を広く覆って付着し、上腕骨の位置によって様々にその形態と組織の緊張を変化させていると学ぶことができました。今回の文献を読み、解剖の知識の重要性を再確認しました。今後も継続して知識を伸ばし、しっかりと臨床に還元できるようにしていきたいと思いました。

投稿者:服部隼人

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