本日紹介させていただく文献は、膝蓋下脂肪体(IFP)の組織弾性が膝前部痛に与える影響についてです。
小野ら:膝蓋下脂肪体の組織弾性が膝前部痛に与える影響,東海スポーツ傷害研究会会誌.2013
本研究ではしゃがみ込み動作時の膝前部痛とIFPの組織弾性に関連があるか否かを検討されています。
対象は膝関節に疼痛の既往がない5膝(健側郡)と、オスグットシュラッター病もしくは有痛性分裂膝蓋骨と診断された10膝を対象とされています。さらにその中でもRf、VL、TFLに対する治療後、疼痛が完全に消失した群としゃがみ込み動作時に膝前部痛が残存する群とに分類されています。
測定は膝関節0°、120°、最大屈曲位として、膝蓋骨尖、膝蓋靭帯、脛骨粗面を描出した上でIFPの組織弾性を計測されています。
結果は疼痛残存郡において膝関節0°~120°に対して最大屈曲位で有意にIFPの組織弾性値が高くなったと報告されています。
IFPは膝関節運動に同調して変形する柔軟な組織です。他研究では膝関節伸展位で最も内圧は高く、屈曲110°程度からまた高くなるとも報告されています。そしてこの研究の結果を踏まえると、膝関節最大屈曲位でIFPの組織弾性が高値を示していることから、IFPの内圧上昇には周囲組織の影響も関与していることがわかります。
IFPの周囲には膝蓋支帯や膝蓋靭帯が位置しているため、臨床においてこのような症例を経験した際には、痛みを出している組織だけでなく、周囲組織に対しても細かく評価することが重要であると思います
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
2017年11月11日土曜日
2017年11月6日月曜日
【文献紹介】レンショウ細胞による反回抑制と筋張力制御
本日はレンショウ細胞による反回抑制と筋張力制御について書かれている論文を紹介させていただきます。
反回抑制の他に筋緊張を抑制する手段としては、相反抑制(Ⅰa抑制)や自原抑制(Ⅰb抑制)などがあります。これらは、それぞれ神経機構が異なるため、評価にて病態を把握し、どの脊髄内抑制を用いることでどのような効果が得られるかを理解したうえで治療選択ができるよう、日々精進したいと思います。
内山孝憲:レンショウ細胞による反回抑制と筋張力制御.バイオメカニズム学会誌,
27(2) :76-82,2003
本論文では、運動単位やレンショウ細胞および筋線維の特性について述べられており、レンショウ細胞の解剖学的知見なども詳細に報告されていますが、今回は反回抑制について着目しました。
反回抑制とは脊髄内抑制の一つであり、臨床上では筋緊張を抑制する際に用いられます。反回抑制では、α運動神経から筋へつながる軸索が分技し、脊髄内抑制の介在神経であるレンショウ細胞を興奮させます。興奮したレンショウ細胞は脊髄内の様々な神経細胞を興奮させるとされています。
反回抑制の他に筋緊張を抑制する手段としては、相反抑制(Ⅰa抑制)や自原抑制(Ⅰb抑制)などがあります。これらは、それぞれ神経機構が異なるため、評価にて病態を把握し、どの脊髄内抑制を用いることでどのような効果が得られるかを理解したうえで治療選択ができるよう、日々精進したいと思います。
投稿者:鷲見 有香
【文献紹介】小胸筋の停止についての解剖学的研究
本日紹介させていただく文献は小胸筋の停止腱がどこまで延びているかを観察した文献です。
吉村英哉他:小胸筋の停止についての解剖学的研究.肩関節31(2):217-219,2007
対象は解剖遺体41体81肩です。小胸筋の烏口突起への停止部を調べ、その停止腱全てまたは一部が烏口突起を越えて入る例については棘上筋を切除して小胸筋の停止腱延長部の形態と停止を詳細に調査しています。
結果は小胸筋停止腱が全部または一部が烏口突起を越えて棘上筋の下に入り込んで入る例は28/81肩ありました。
小胸筋の停止腱が全幅延長腱となっていたのが21.4%存在していました。
小胸筋の停止腱の一部が延長腱となっていた例のうち、烏口突起上に達した小胸筋腱の中間部のみ延長していた例が17.9%、外側1/3〜3/4部が延長していたものが53.6%、内側1/2部が延長していたものが7.1%でした。
烏口突起を超えて延びた腱は大結節に向かうもの、関節窩後上縁に向かうものが観察されました。いずれの場合もこつに直接付着せず、関節包に付着していました。筆者らはこれを3つに分類しています。
Ⅰ型:大結節に向かって延びている
Ⅱ型:関節窩後上縁へ向かうもの
Ⅲ型:関節窩後上縁と大結節の2方向に別れて広がって入るもの
過去の報告からも小胸筋の延長腱が30%を超えており、頻度として少ないとは言い難く、今回の検討で小胸筋腱が全幅にわたり延長腱となっていた例からも小胸筋の収縮が直接肩関節の運動に関与していることが考えられると筆者は述べています。
小胸筋腱が延長している例は全症例ではありません。担当している患者さんが小胸筋停止腱が延長してる症例であるかどうかもわかりません。中にはこのような構造をとる症例が存在して入るということを頭の片隅に置いておくことも必要であると感じました。
吉村英哉他:小胸筋の停止についての解剖学的研究.肩関節31(2):217-219,2007
対象は解剖遺体41体81肩です。小胸筋の烏口突起への停止部を調べ、その停止腱全てまたは一部が烏口突起を越えて入る例については棘上筋を切除して小胸筋の停止腱延長部の形態と停止を詳細に調査しています。
結果は小胸筋停止腱が全部または一部が烏口突起を越えて棘上筋の下に入り込んで入る例は28/81肩ありました。
小胸筋の停止腱が全幅延長腱となっていたのが21.4%存在していました。
小胸筋の停止腱の一部が延長腱となっていた例のうち、烏口突起上に達した小胸筋腱の中間部のみ延長していた例が17.9%、外側1/3〜3/4部が延長していたものが53.6%、内側1/2部が延長していたものが7.1%でした。
烏口突起を超えて延びた腱は大結節に向かうもの、関節窩後上縁に向かうものが観察されました。いずれの場合もこつに直接付着せず、関節包に付着していました。筆者らはこれを3つに分類しています。
Ⅰ型:大結節に向かって延びている
Ⅱ型:関節窩後上縁へ向かうもの
Ⅲ型:関節窩後上縁と大結節の2方向に別れて広がって入るもの
過去の報告からも小胸筋の延長腱が30%を超えており、頻度として少ないとは言い難く、今回の検討で小胸筋腱が全幅にわたり延長腱となっていた例からも小胸筋の収縮が直接肩関節の運動に関与していることが考えられると筆者は述べています。
小胸筋腱が延長している例は全症例ではありません。担当している患者さんが小胸筋停止腱が延長してる症例であるかどうかもわかりません。中にはこのような構造をとる症例が存在して入るということを頭の片隅に置いておくことも必要であると感じました。
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