COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年4月10日月曜日

【文献紹介】小胸筋の停止異常と烏口上腕靭帯との関係について






 

 本日紹介する文献は、小胸筋の停止異常と烏口上腕靭帯との関係について実際のご遺体を使い肉眼解剖を行った研究です。その中でも、小胸筋の停止異常について紹介させていただきます。





肱岡ら:小胸筋の停止異常と烏口上腕靭帯との関係について 
―肉眼解剖による検索より― 肩関節 Vol.151991No.1
 
 対象はご遺体53例、106肩(男性38例、女性15例)を用いて小胸筋の停止異常について検索しました。
 

 結果の一部を紹介させていただきます。小胸筋の停止異常については、Seibによる小胸筋の停止異常は烏口突起を超えて関節包および臼蓋に停止する2通りの停止異常があるとの報告や、過去にも多数の報告が散見されます。しかし、著者らは臼蓋に停止する靭帯は問題にせず、関節包へ停止するもののみを検索し、小胸筋の関節包への停止を4型に分類しています。
1型:烏口突起に停止するもの
2型:烏口突起には停止せず関節包へ直接停止するもの
3型:小胸筋の一部が烏口突起を超えて関節包に停止するもの
4型:小胸筋は烏口突起に停止するが、烏口突起から関節包に残存腱と考えられる靭帯が
認められたもの
全体としての停止異常は106肩中39肩でみられ、女性に多く観察されたと報告しています。
 
このことから、小胸筋の停止部が烏口突起だけでなく関節包にまで及んでいる場合があることを学びました。今後は小胸筋の停止異常が存在している可能性を考え、評価・治療に活かしていきたいと思います。
 

投稿者:鷲見有香

2017年4月6日木曜日

【文献紹介】授動術を要する拘縮肩症例の特徴について

 本日は、拘縮肩症例に対して行われる授動術の術前と術後の病態を比較されている論文を紹介します。
 
 田畑四郎ら拘縮肩のマニプレーション-成績と成績影響因子肩関節18(2) :405-409, 1994.

 拘縮肩症例に対して運動療法が著効しない場合、肩甲上腕関節の授動術が行われることがあります。授動術を行われる症例の肩関節の特徴を知ることは、授動術を回避する運動療法の立案につながると考えます。
 本論文は、非観血的な授動術を行った症例の発症の原因や治療判定による手術成績の検討を行われています。その中で関節造影を用いて関節包の深さを測定されています。関節造影より、腋窩陥凹と前内側関節包は術前と比較して術後に有意に深さは増加していたと報告されています。
 結果より、授動術が必要となる症例は腋窩陥凹や前内側関節包の拘縮が存在することがわかります。拘縮肩症例はこれらの部位に拘縮が存在する可能性を推測して運動療法を行う必要があるかと思います。深層にある組織ですので鑑別が難しいですが、表層の組織からひとつひとつ丁寧に評価することで鑑別ができるかと思います。どのような症例が運動療法に抵抗するのか、手術が必要なのか、などを把握することで効果的な運動療法が立案されると思いますので今後も役立てていきたいと思います。


投稿者:中井亮佑

【文献紹介】烏口上腕靭帯は肩関節内旋制限に関与するのか


 日常生活動作には結滞や下肢更衣など内旋動作が多く、内旋制限の改善は臨床上重要であると思います。
本日は、烏口上腕靭帯に着目して、内旋制限の原因となる病態を調査した論文を紹介させていただきます。
 
 

この研究では内旋制限を主訴とする23症例(病態:凍結肩、平均年齢:61.5歳)に対して、局所麻酔下に非観血的授動術を行い、断裂する解剖学的組織をMRIで同定し、内旋制限に対する内旋授動術の効果を調査されています。

結果は授動術後のMRIより関節窩よりの烏口突起起始部での烏口上腕靭帯の断裂が確認され、その他の組織断裂は認められなかったことが示されていました。また、授動術後の可動域は下垂位内旋、水平内転、外転位内旋、屈曲位内旋で有意に改善したと報告されていました。この結果に対して筆者は烏口突起から棘上筋・棘下筋を連結するCHLの癒着が肩前方組織の滑走性を低下させ上腕骨頭の動きを制限している可能性があると考察しています。

内旋制限を改善させるためには後方組織由来だけでなく、前方組織にも着目して評価・治療を行う必要があると思いました。自分の中の病態解釈の幅を広げて治療成績があがるように努めていきたいと思います。
 
投稿者:佐々木拓馬

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