森澤豊他:烏口肩峰靭帯における神経終末の観察-その形態と分布について-.肩関節14(2),1990:161-165
impingement syndromeの病態を明らかにする目的で手術から得られた烏口肩峰靭帯における神経終末を観察し、その形態および分布について検討しています。
対象は手術で摘出した烏口肩峰靭帯9片です。(腱板断裂4片、impingement syndrome2片、腕神経叢損傷3片)
Gairnsの塩化金染色変法をもちいて、処理後に光顕下にて観察しています。
結果は肩峰下滑液包面側に多数のmechanoreceptorを認めました。腱板断裂と腕神経叢損傷の分布状態はほぼ同様であったと報告していまし。
impingement syndrome症例においては肩峰付着部前方部分に一致してmechanoreceptorが存在していたと報告しています。
烏口肩峰靭帯はimpingementが生じる肩峰付着部の肩峰下面にmechanoreceptorの密度が高い事がわかりました。
烏口肩峰靭帯は肩甲上神経に支配されており、mechanoreceptorは肩甲上神経を介してreflex arcを形成し運動制御機構や運動時痛い関与すると考えられたと述べています。
烏口肩峰靭帯に多数のmechanoreceptorが存在し、かつ存在場所もimpingementが生じる場所であり、疼痛を拾いやすいことがわかりました。
また、肩甲上神経支配であることからも烏口肩峰靭帯の拾った侵害刺激は同様の支配にある棘上筋や棘下筋にも影響を及ぼすことが考えられ、筋の痛みのみをとらえるのではなく、その他組織からの影響も考えていかなければいけないと学びました。