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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2019年4月23日火曜日

【文献紹介】足底方形筋の肉眼解剖学的観察-長指屈筋との関係-

本日紹介させていただく文献は、御遺体を用いて足底方形筋を肉眼的に観察したものです。 
川崎啓二:足底方形筋の肉眼解剖学的観察-長指屈筋との関係-.久留米医学会雑誌75,2012:17-24   


足底方形筋と長趾屈筋の詳細な調査を行うことを目的とされています。
対象は解剖学実習に御遺体17体33肢です。計測した項目は足長、足幅、下腿最大周径、下腿長を計測し、足底方形筋は外側縁−停止部・内側縁-停止部・内外側両頭接合部-停止・内外側頭の接合部の幅・内側頭の筋長・内側頭の停止部の幅・内側頭の筋幅・内側頭の停止部の筋幅・外側頭の筋長・外側頭の停止部の幅・外側頭の筋幅・外側頭の停止部の筋幅・内外側頭接合部の角度を計測しています。長指屈筋は筋長、筋幅、筋厚を計測しています。
結果は足底方形筋の付着に関しては起始部は踵骨隆起内側突起から踵骨体内側面、踵骨隆起外側突起と踵骨体外側面の2ヶ所から起始し、長足底靭帯の底面で合して扁平な筋となり、足尖に向かい長趾屈筋腱腱が4腱に運気する部分の外側縁に停止していました。
足底方形筋の筋長は内側のほうがやや長く、筋幅は内外側頭ともに中央部が最も狭い結果でした。筋腹自体は他筋と比較するとかなり小さく薄い筋でした。破格例はなかったが、内側頭と外側頭が合流する部分にバラつきがみられました。
内側頭と外側頭が合流する部分において筋状のものもあれば、腱膜状のものも存在した。接合角度も様々でした。これらの差異は年齢および活動性によるものと思われます。今回はありませんでしたが、足底方形筋が欠如している者も存在し、欠如していても深下腿筋膜から起こる長趾屈筋の副束を持つことがあり、足底方形筋の機能を代償していることが報告されています。手部に関してはこのような機能を有する筋が存在せず、足底方形筋が足趾屈曲に関与している以上、立位や歩行に大きく関与し、足底部において重要な筋であると言えると筆者は考察しています。
形態測定の結果と足底方形筋の計測結果の間に正の相関関係を認め、形態測定の結果と、足底方形筋の計測結果の間、形態測定の結果と長趾屈筋の計測結果にそれぞれ正の相関関係を認め、形態測定の結果から長指屈筋や足底方形筋の形態を推測できることが考えられました。以上のことから足底方形筋、長指屈筋、下腿部の間には密接した関連があることが明らかとなりました。

今回の検討から詳細な付着部がわかり、また形態測定の結果からある程度の筋の形態を推測できることから、アプローチしやすくなると感じました。
また、長指屈筋に付着をもつことと欠損していたとしても長趾屈筋の副束により機能を代償することからも足趾運動への関与が大きいことが考えられ、足部疾患の症例における足底方形筋の評価も重要であることがわかりました。


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