本日紹介させていただく文献は手術記録から足根管内で分岐する神経について検討された文献です。
安永剛他:足根管内で分岐する微細な神経分岐の解剖学的検討.脊髄外科23(2):164-167,2009
対象は自験71例125足です。手術記録を再検討し、微細な神経の分岐の存在とその分岐様式について分類した。
group0:術中に神経分岐が確認できなかったもの
group1:内側足底神経からのみ分岐したもの
group2:外側足底神経からのみ分岐したもの
group3:内側足底神経と外側足底神経両方から分岐したもの
group4:内側足底神経と外側足底神経両方から分岐したのち神経ワナを形成したもの
の5群に分けています。
結果は
group0:41%
group1:39%
group2:2%
group3:12%
group4:6%
足根管内は血管群と内外側足底神経が接触しており、絞扼という病態に大きく関与しています。Kohnoらは屈筋支帯の切除のみでは除圧術では不十分であると考え、血管群と両神経の間に脂肪組織をおくことで足根管内を神経のみの走行にするという手術を行い良好な成績を出しています。また、母趾外転筋の下面で絞扼されるケースもあり、足根管症候群の症状が後脛骨神経単一のものではないことを示唆しています。
筆者らは屈筋支帯切断後に母趾外転筋の筋膜切開、両血管と両神経の間で屈筋支帯を縫合し、足根管内に神経のみが走行する構造にする手術を行なっている。
しかしこの術式は母趾外転筋膜を通過する内外側足底神経から分岐する微細な神経を損傷する可能性があります。Kimらはこれらの微細血管の損傷は有痛性の神経腫を形成したとかこに報告しています。筆者らとKimらの報告で共通しているのは微細神経は損傷しやすいということです。足根管内での神経分岐は高確率で存在するため、慎重な手術が必要であると筆者は述べています。
一つに足根管症候群といっても様々な症状があります。今回報告されたような遠位足根管での症状も近位足根管症候群に類似した症状が出現します。
足根管内の容積はそれほど大きいものではないため、特に外傷後の拘縮は容積を狭めてしまうため、神経症状が疑われる場合には早急に拘縮除去を行う必要があります。
また、その神経症状が近位足根管で生じているのか、遠位足根管で生じているのか、さらに遠位で生じているのか詳細な評価が必要にす必要があります。そのためにはこれらの細かな解剖を知る必要があり、さらに理解を深める必要があると感じました。
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2017年9月18日月曜日
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