田中洋ら:コンピュータモデルを用いた肩甲上腕関節の回旋における腱板疎部の形状と面積変化シミュレーション.臨床バイオメカニクス36:23-29,2015
対象は健常人男性3名で、open MRIを用いて検討されています。撮影肢位は90°外転位で内旋位、外旋位、内外旋中間位とされています。腱板疎部は結節間溝の前上部、後上部、烏口突起基部、関節窩上結節を直線で結び腱板疎部の形状を再現しています。
形状変化の結果です。内旋位と中間位においては不等辺四角形、外旋位においては細長い三角形に変化したと報告しています。
面積の結果です。個体差はあったものの内旋位で大きく、外旋位で小さくなる傾向にあったと報告しています。
この文献には内旋位、中間位、外旋位における腱板疎部の形状の変化が前額面と水平面より観察した図が示されています。
中間位と比較すると内旋位においても外旋位においても大きく形状が変化していることが見て取れます。
腱板疎部は膜状の空間であり、その中を上腕二頭筋腱や烏口上腕靭帯といった組織が走行しており、肩関節拘縮において重要な場所であることは報告されています。今回紹介させていただいた文献で内旋で弛緩、外旋で緊張するだけでなく、大きく形状が変化することが分かり、肩関節疾患の患者において、大きく形状が変化できるだけの柔軟性が必要であることが分かりました。
今後の臨床に活かしていきたいと思います。
投稿者:堀内奈緒美