今回の文献は掌側ロッキングプレート;方形回内筋温存法についてです。
今谷潤也:掌側ロッキングプレート;方形回内筋温存法
Orthopaedics Vol.27 No.1 2014
橈骨遠位端骨折の治療において掌側ロッキングプレート固定法は一般的となり、良好な成績が多く報告されています。掌側ロッキングプレート固定法は橈側手根屈筋腱上に皮切を加え展開し、橈側手根屈筋腱を尺側に、橈骨動脈を橈側へよけて方形回内筋を切離します。そして橈骨掌側面を展開しプレートを設置する方法です。
今回の文献では方形回内筋を温存し、骨折部を直接展開することなく、小皮切からプレートを方形回内筋の下層へ滑り込ませて内固定するMIPO(minimally invasive plate ostheosynthesis)法についての手術手技や治療成績について報告されています。手術手技についても術前計画から、進入法や整復手技、固定原理、固定手技についても細かく記載されています。
方形回内筋は尺骨下部前面より起始し、橈骨下部前面に停止する純粋な回内作用を持つ筋です。特徴として前腕の筋肉の中で最も深層に位置し、幅は3~4cm程度であり、尺骨の付着は橈骨の付着と比べて背側へと延び、尺骨に巻きつくような位置関係となります。また、方形回内筋深層部の前骨間動脈および橈骨・尺骨動脈は方形回内筋内においても豊富なmicrovascular connectionを形成しているとされ、橈骨遠位骨端部の血行において重要な役割を担っているとされています。
解剖をしっかり熟知して、手術によりどの組織が侵襲されているかを理解した上で治療していくことが必要です。そうしていけるよう日々努力を続けていきたいと思います。
投稿者:吉田雄大