畑 幸彦ほか:腱板断裂手術後に残存する痛みの要因について.肩関節.2000;24巻,2号,279-282.
臨床では、腱板修復術後に、可動域は比較的良好であっても、詳細に問診を行うと重鈍さや痛みを訴える症例を目にすることが少なくありません。
この文献では、その痛みに の原因について、術後1年〜1年半の時点にて、関節造影MRIで無症候群と有痛群における関節包の大きさを比較されています。
比較の結果、疼痛を有する群ではAnterior・Posterior pouchと比べてInferior pouch(Axillary pouch)が短縮していたと報告されています。
この文献から、術後のリハビリでは、Inferior pouchの柔軟性もしっかり診ておくことが、術後の疼痛の消失において重要であることがわかりました。
また、腱板断裂保存例でも、有痛群は、後方から後下方の組織の柔軟性が低下しているという報告もあり、上腕骨頭の位置が変位し、肩甲上腕関節での運動が不正になることが疼痛発生に関与している可能性が考えられ、骨頭の位置の変位について詳細に評価することが大切だと感じました。
投稿者:為沢 一弘