concept

COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2023年2月8日水曜日

【論文紹介】内側半月板逸脱と半月脛骨靭帯の構造異常の関連性について

 臨床において膝関節疾患の方に対して半月板の可動性を意識して評価、治療を行うことが増えました。膝関節内を勉強する機会もあり、半月板周囲構造と膝OAにについて調べています。






論文をまとめると、


Purpose


本研究の目的は、(1)半月板逸脱について説明(2)その画像的特徴を提示(3)臨床的相関を示すことである。

また、半月板逸脱と半月脛骨靭帯異常の関連性について検討した。



Materials and methods 


3244件のMRIを検討し、全層半月板断裂、半月板手術歴、半月板逸脱なし、靭帯断裂、関節内骨折、腫瘍、軟骨軟化症、関節炎を有する患者を除外した。

各MRIにおいて、半月脛骨靭帯構造の異常は、信号の増加または減衰した外観を示したものと定義した。半月板の逸脱は、過去に報告された方法により、冠状画像で測定した半月板中央部のレベルで、半月板周縁と各脛骨プラトー間の距離として決定した。

半月板逸脱と半月脛骨靭帯の構造異常、臨床所見の関連性を検討した。



Result


研究対象は男女20名であった。68%の症例は半月板逸脱側と膝痛に相関があった。半月板の平均逸脱量は2.5mmで、45%(20名中9名)が3mm以上の逸脱を有していた。半月脛骨靭帯の異常は65%(20例中13例)に認められた。半月板が3mm以上逸脱している患者は、3mm未満の逸脱の患者(36%、11人中4人)に比べ、半月脛骨靭帯の異常を伴う可能性が非常に高かった。半月脛骨靭帯の異常や半月板逸脱量とK-L grade、性別、年齢、急性損傷、BMIの間に相関は認められなかった。


Conclusion


半月板逸脱は、半月板断裂や変形性膝関節症などある場合によく起こることが示唆された。半月板逸脱はまれな現象であり、臨床的には膝の痛み、特に逸脱した側の痛みを呈するが、半月板逸脱は常に症状を呈するとは限らない。半月板が無傷で膝の病変が少ない場合でも3ミリ以上の半月板逸脱があると、半月脛骨靱帯に異常があることが多いようである。




早期膝OAは半月板の逸脱が主たる構造変化であることが近年報告されていますが、著者が述べているように、画像所見と臨床所見が必ずしも一致するとは限りません。

半月板の逸脱が先か半月脛骨靭帯の異常が先かわかりませんが、「半月板の逸脱と半月脛骨靭帯の構造破綻は関連がある」という事実は、臨床における病態解釈の一助としたいと思います。




投稿者:尼野将誉













2023年2月5日日曜日

【論文紹介】手指屈筋腱鞘の解剖学的知識

手指骨折の患者さんを担当する機会があり、手指の解剖について調べています。今回は2つの論文の解剖についての記載部分をまとめます。









Anatomy


指屈筋鞘滑車系は、屈筋腱の正常かつ効率的な機能を可能にする複雑な構造である。この鞘滑車系は、深部の滑膜成分と表層の網膜成分から構成されている。滑車は線維性組織であり、屈筋腱をほぼ取り囲み、線維と骨を連結して、腱を骨に隣接させるように機能する。これにより、筋-腱ユニットから発生する並進力を指骨にかかる回転モーメントに変換することができる。腱鞘は近位から遠位に向かって順に5つの環状滑車(A1~A5)と3つの十字滑車(C1~C3)がある

A2は基節骨に、A4は中節骨に直接付着し靭帯性腱鞘といわれる。A1、A3、A5は、より柔軟で膜性腱鞘のといわれ、主に掌側板に付着し、十字滑車とともに、それぞれ指の屈曲・伸展時にインピンジメントを回する役割をもつ。A1、A3、A5滑車はそれぞれ中手指節関節(MCP)、近位指節間関節(PIP)、遠位指節間関節(DIP)の上に位置している。十字滑車はC1、C2、C3からなり、それぞれA2とA3、A3とA4、A4とA5滑車の間に位置している。A1滑車の近位には掌側腱膜滑車があり,掌側腱膜の横靭帯がLegueuとJuvara膜に付着し,A1滑車の表層と近位の屈筋腱の上にアーチを形成している。A2は大きく重要であると考えられており、A2とA4の滑車は、指や性別に関係なく、同様の生体力学的特性を持つといわれている。

バイオメカニクスの観点では、指の屈曲量は腱の伸展量とモーメントアームに比例する。無傷のプーリーは屈筋腱を指関節の回転軸に近づけ、指の総屈曲量を最大にする。モーメントアームはプーリーの不全に伴って増加し、指の完全な屈曲が得られる前に腱の最大伸展に至る。



手指の屈筋腱損傷Zone 2には深指屈筋腱と浅指屈筋腱の交叉(Chiasma)部があるためその複雑な走行から縫合手術後に高率に癒着を生じ、術後成績が良くなかったことから、No man's landとしてよく知られています。chiasma以外にも、上記のような滑膜組織である腱鞘があれば炎症の波及、拘縮をきたしやすい部位と考えます。A2は大きく滑走幅も必要となる部位ですが、A1.3.5は掌側板と連続し、膜性腱鞘であるため重要と考えます。各レベルにおける腱の評価を見落とさずに臨床に望みます。


投稿者:尼野将誉

2023年2月2日木曜日

【論文紹介】ヒアルロン酸注射の効き目はどのくらい?

患者さんから「ヒアルロン酸注射の効き目はどのくらい?」と質問され、答えられなかったためヒアルロン酸について調べ直しました。3つの論文をまとめました。




ヒアルロン酸とは、100k-1MDaの高分子多糖体で細胞外基質内に通常存在している。

基本構造はグルクロン酸とN-アセチグルコサミンの2糖がグリコシド結合した繰り返し構造であり、生体内ではB型滑膜細胞や線維芽細胞によって産生される。






半減期は血液循環内では3~5分、細胞内では1日以下、関節軟骨内では1~3週間と存在する組織によって多様な機能を果たしていると考えられる。ヒアルロン酸は関節内滑膜や眼球硝子体内の粘弾性を維持しているが、この粘弾性は高い水分子結合率による円滑作用とされる。具体的に円滑作用とは剪断、圧迫ストレスに対する抗癒着、衝撃吸収、安定性などの作用を示し、さらに鎮痛作用も有している。 





また、ヒアルロン酸は腱鞘滑膜からも産生される。腱滑動作用だけでなく、成長因子放出や細胞間の相互作用など修復反応促進、瘢痕組織生成抑制など効果がある。




一般診療で広く利用されるヒアルロン酸は、関節内だけでなく筋・腱付着部における役割も大きいことを学びました。軟部組織に対する効き目は1日以下であり、注射直後に運動療法を行うことでその効果は増すのではないかと考えます。




投稿者:尼野将誉




人気の投稿