【目的】
本研究では、恥骨上の筋骨膜付着部と腹部および大腿内転筋群の筋内骨膜間の関係を調べることを目的とした。
【方法】
10個の骨盤の半分をマクロ的に分析した。恥骨の骨形態は、マイクロコンピューター断層撮影法を用いて2つの骨盤で評価した。組織学的検査は2つの骨盤で行った。
【結果】
外腹斜筋は長内転筋と結合し、恥骨稜遠位の小さな印象に付着していた。薄筋腱膜は短内転筋腱膜と合流し、下恥骨稜の近位部に付着する。腹直筋腱膜と錐体筋腱膜は恥骨稜に付着し、短内転筋と混在して両側結合腱膜を形成し、恥骨前内面を覆う広い領域に付着していた。組織学的には、この2つの結合した腱膜は線維軟骨接合部を介して恥骨に付着していた。マイクロコンピューター断層撮影により、2つの特徴的な骨形態、すなわち、恥骨上の小さな印象と細長い骨隆起が、結合した2つの腱膜領域に対応していることが判明した。
【結論】
この研究により、外腹斜筋と長内転筋の腱膜付着部、腹直筋、錐体筋、薄筋、短内転筋の腱膜付着部の間に密接な関係があることが示された。腱膜複合体の所見は、スポーツ選手の鼡径部痛の診断や外科的アプローチに役立つであろう。
投稿者:尼野将誉