COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2023年11月24日金曜日

【論文紹介】腹部および内転筋の恥骨への筋腱膜付着部間の有意な関係:鼠径部痛の診断における意義





【目的】 
本研究では、恥骨上の筋骨膜付着部と腹部および大腿内転筋群の筋内骨膜間の関係を調べることを目的とした。

【方法】
10個の骨盤の半分をマクロ的に分析した。恥骨の骨形態は、マイクロコンピューター断層撮影法を用いて2つの骨盤で評価した。組織学的検査は2つの骨盤で行った。

【結果】
外腹斜筋は長内転筋と結合し、恥骨稜遠位の小さな印象に付着していた。薄筋腱膜は短内転筋腱膜と合流し、下恥骨稜の近位部に付着する。腹直筋腱膜と錐体筋腱膜は恥骨稜に付着し、短内転筋と混在して両側結合腱膜を形成し、恥骨前内面を覆う広い領域に付着していた。組織学的には、この2つの結合した腱膜は線維軟骨接合部を介して恥骨に付着していた。マイクロコンピューター断層撮影により、2つの特徴的な骨形態、すなわち、恥骨上の小さな印象と細長い骨隆起が、結合した2つの腱膜領域に対応していることが判明した。


【結論】
この研究により、外腹斜筋と長内転筋の腱膜付着部、腹直筋、錐体筋、薄筋、短内転筋の腱膜付着部の間に密接な関係があることが示された。腱膜複合体の所見は、スポーツ選手の鼡径部痛の診断や外科的アプローチに役立つであろう。




投稿者:尼野将誉



2023年11月21日火曜日

【論文紹介】二分靭帯の形態学的特徴について






【背景】
 二分靭帯の損傷は、画像診断が最も困難な損傷のひとつである。その理由として、この構造の形態学的特徴がまだ十分に解明されていないことが考えられる。そこで我々は、多数の標本を用いた大規模な研究により、二分靭帯の形態学的特徴を明らかにすることとした。

【方法】
踵骨舟状靱帯は、踵骨舟状靱帯と踵骨楔状靱帯の両方が存在するもの(タイプI)、踵骨楔状靱帯が存在しないもの(タイプII)、踵骨舟状靱帯が存在しないもの(タイプIII)の3種類に分類した。分岐靭帯の形態学的特徴は、各靭帯の中心における繊維束の長さ、幅、厚さを測定することにより決定した。

【結果】
この分類により、I型が68足(68%)、II型が32足(32%)、III型が0足(0%)となった。踵舟状靭帯は長さ20.8±2.9mm、幅4.9±1.2mm、厚さ3.8±1.1mmであった。踵骨舟状靭帯は長さ約10.5±2.7mm、幅4.7±2.4mm、厚さ1.5±0.6mmであった。踵骨二分靭帯は全標本において、浅指伸筋と深指伸筋の深部に位置していた。踵骨靱帯の踵骨起始部は、すべての標本で骨間距踵靱帯の下深くに位置していた。踵骨楔状靭帯が背側踵骨楔状靭帯の下深くに位置するものが2面確認された。


【結論】
 このような変異や位置関係は、二分靭帯損傷の画像診断を複雑にする要因であることが示唆された。本研究の結果は、画像診断のための有用な基礎データとなると思われる。



投稿者 尼野将誉



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