当骨折症例を担当するにあたりシステマティックレビューを抄読 しています。
【背景】
第5中足骨の骨折は、足の骨折の中で最も多いものの一つである。これらの骨折の多くは近位に位置している。第5中足骨近位部の骨折は、1902年にSir Robert Jonesによって初めて報告された。その後、さまざまな分類体系や管理方法が文献に記載された。Joseffsonのシリーズでは、第5中足骨近位部骨折は通常、人生の2~6年目に起こる。DameronとEkrolは、若年者では男性優位であるのに対し、高齢者では女性優位であることを観察した。これらの骨折は、主にスポーツ活動の結果であるが、非陸上競技者にも起こりうる。
目的は、第5中足骨近位部骨折の病理解剖学的特徴、分類、治療戦略、合併症および合併症の管理について、現在の文献のエビデンスに基づきレビューすることである。
【結果】
第5中足骨の血管供給と軟部組織の解剖学的構造は、結合遅延と非結合のリスク上昇を説明するものである。LawrenceとBotteは、第5中足骨近位部骨折をその部位により、結節剥離骨折(ゾーン1)、第4-5中足骨間関節に及ぶ中足骨-骨幹部接合部の骨折(ゾーン2)、近位骨幹部骨折(ゾーン3)に分類している。ゾーン1骨折は、機能的固定と早期のモビライゼーションにより保存的に治療され、良好な治療成績が得られる。ゾーン2およびゾーン3骨折の場合、急性期は保存的治療が可能だが、結合時間や機能復帰までの時間が遅れるリスクがある。したがって、運動をしている人には、早期に髄内スクリューによる外科的固定を行うことが勧められる。遅発性結合や非結合の徴候を示す症例では、骨移植を伴う、あるいは伴わない外科的治療が推奨される。
【結論】
第5中足骨近位部骨折のLawrenceとBotteの分類は、予後や治療方針への影響から推奨されている。ゾーン1骨折は治癒可能性が高いため保存的に治療する必要がある。ゾーン2とゾーン3の骨折は、特にスポーツ選手では早期の手術治療が勧められる。結合遅延、非結合、再骨折などの合併症に対しては、再固定術や骨移植を行う必要がある。
投稿者:尼野将誉