今回は超音波エコーを用いた橈骨遠位端掌側面と長母指屈筋腱との位置関係の検討です。
超音波エコーを用いた橈骨遠位端掌側面と長母指屈筋腱との位置関係の検討
整形外科と災害外科62:2013 久保祐介ら
橈骨遠位端骨折の手術治療において掌側ロッキングプレートを用いた内固定法は標準的治療として広く用いられています。その一方で橈骨遠位端骨折後の合併症として長母指屈筋腱の断裂が重篤な合併症として問題視されています。
本文献では長母指屈筋腱の走行とwatershed lineとの解剖学的位置関係を超音波エコーを用いて評価し、掌側ロッキングプレート固定を行った際の長母指屈筋腱断裂のリスク因子を検討されています。watershed lineと長母指屈筋腱との距離、方形回内筋の最大筋腹幅、watershed lineと方形回内筋付着部との距離を検討項目としています。
watershed lineは橈骨遠位端骨折における掌側ロッキングプレートの設置位置を決定する指標とされており、watershed lineより遠位にプレートが設置されることにより屈筋腱損傷のリスクが高まるとされています。本文献のように超音波エコーでのwatershed lineと長母指屈筋腱の位置関係の確認に加え、術後の画像所見からプレートの設置位置の確認を行っていくことで長母指屈筋腱断裂のリスクを少なくできるので、しっかりと着目していきたいと思います。
投稿者:吉田雄大