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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年7月4日火曜日

【文献紹介】関節運動の変化が関節軟骨・半月板に及ぼす影響

 今回は、関節の動態変化が関節軟骨にどのような影響を及ぼすかを述べた文献について紹介したいと思います。



村田健児他:関節運動の変化が関節軟骨・半月板に及ぼす影響.理学療法.2477832017


 本研究は、メカニカルストレスとなり得る膝関節の運動学的異常が軟骨及び半月板に与える影響を検証しています。

 対象は6ヶ月齢のラット40匹を用いられ、ACLを外科的に損傷させ、前方引き出しが過剰に生じている群(以下ACLT群)、同じく外科的損傷後、脛骨の前方引き出しを制動した群(CAJM)、通常飼育群(CTR)の3群に分類されています。
 これらの3群を、術後12週目に関節軟骨と半月板の変性について組織学的分析を行われていました。



 結果は、術後12週ではACLT群で関節軟骨厚の減少や関節軟骨の変性、表層のフィブリン化が他の2群と比較し、著しく重症化していました。
 半月板の接触エリアと非接触エリアで比較すると、ACLT群とCAJM群の2群では双方のエリアで変性を認め、大腿骨側と脛骨側両方で変性が認められました。また、半月板自体の変性も同様に、ACLT群とCAJM群がCTR群と比較して有意に構造的破壊を認めていました。


以上のことから、膝関節の不安定性がある場合、関節軟骨や半月板に正常よりもメカニカルストレスが負荷となり、変性の重症化を招くことが分かります。


今回の研究では、ラットを用いて、ACL損傷による脛骨前方引き出しが制動されない膝関節を想定し、関節軟骨や半月板の変性がどう生じるのかを検討されていました。

 ACLは膝関節内靱帯であり、膝関節の安定性の多くを担っています。関節の安定性は靱帯のみではなく、筋や腱、関節包など多くの軟部組織によって関節の安定性は保たれています。このメカニカルバランスが、生体内の組織(今回の研究では関節軟骨や半月板)が機能しやすい環境を整えていると言っても過言ではないと思います。


 しかし、軟部組織の損傷や機能不全、筋の滑走不全やtightnessが存在した場合、本来の関節運動から逸脱した運動を行い、組織の損傷に繋がることが考えられます。


 私たちが理学療法を提供させていただく方には、術後の方だけでなく、保存療法を選択された方に対しても理学療法を提供させていただきます。
 opeによる介入が行われない患者様の理学療法では、軟部組織のバランスを整えることが重要となります。問題となる軟部組織を特定する評価や、それらに対しての治療技術など、さらなる技術向上や知識の積み重ねが必要となることが、改めて感じられました。


投稿者:高橋 蔵ノ助







【文献紹介】ラット膝における軟骨下骨支配神経の特性

おはようございます。本日は軟骨下骨支配神経についての文献を紹介させていただきます。
 変形性膝関節症(膝OA)において、軟骨がすり減り軟骨下骨まで変形が進んでいくと骨髄性の疼痛が生じることはよく言われています。そこで今回は、軟骨下骨について調べてみました。
河漕孝治:ラットにおける軟骨下骨支配神経の特性.日本運動器疼痛学会雑誌(5):132−138,2013



本文献は、軟骨下骨を支配するDRG(後根神経節)細胞を逆行性神経トレーサーを用いて標識し、その神経科学的特性(CGRPNGF受容体(TrkA)、NF200IB4の発現)や脊髄高位分布、DRG細胞の大きさを明らかにすることを目的に行われており、さらに、軟骨下骨支配神経と膝関節内組織支配神経の違いを比較検討されています。



方法は3週ラットを用いて大腿骨遠位骨端外側に骨孔を作成し、Fast BlueFB1.5μlを膝関節腔にDil 10μl注入後、14日目にL1~6DRGを摘出し、FBによる軟骨下骨を支配するDRG神経細胞の変化、Dilによる膝関節内組織を支配するDRG神経細胞の変化を蛍光顕微鏡を用いて観察。各脊髄高位でFBおよびDilで標識される細胞数をカウントし、DRG細胞断面積を計測しました。また、免疫組織化学染色を行い、FBおよびDilで標識されるDRG細胞のうち、CGRPTrkANF200IB4の発現の割合を計測しました。



結果の一部を紹介させていただきます。

各脊髄高位での細胞数の結果では、FB標識細胞(軟骨下骨支配神経)の60%がL3に局在し、有意に多くのFB細胞を認めました。また、Dil標識細胞(膝関節内組織支配神経)の67%がL3L4に分布しており、L3,4L1およびL6と比較して有意に多くのDil標識細胞を認めました。この結果から、筆者らは骨壊死が限局した痛みを訴える場合が多いのに対して膝OAでは限局のはっきりしない痛みを訴える一因となっていると考察しています。



 DRG細胞の神経科学的特性では、CGRP(炎症性疼痛と関係する細胞)およびTrkA陽性はFB標識細胞で多く、NF200(有髄神経線維(A線維)を有する細胞)陽性はDil標識細胞で有意に多かった。一方、IB4(神経因性疼痛と関係する細胞)陽性はFBおよびDil標識細胞でほとんど存在しませんでした。また、CGRPおよびTrkA陽性細胞の割合では、軟骨下骨支配神経の方が膝関節内組織より有意に多い結果となりました。

CGRPSubstancePを含むpeptidergie neuronは神経性炎症を生じさせる働きがあると言われており、筆者らは、研究の結果から軟骨下骨は炎症性疼痛に鋭敏であると考察しています。


今回調べていく中で、軟骨下骨由来の痛みを理解することが出来ました。膝OAでは軟骨下骨由来の痛みだけでなく軟部組織由来のものもあるため、軟部組織と骨の問題を区別していくために必要となる画像の勉強もしていきたいと思います。

投稿者:鷲見 有香

2017年7月2日日曜日

【文献紹介】夜間痛を伴う肩腱板断裂の臨床的特徴に関する検討

本日紹介させていただく文献は夜間痛を生じる症例の所見について検討されています。


岩下哲他:夜間痛を伴う腱板断裂の臨床的特徴に関する検討.東日本整形災害外科学会雑誌26(1):55−58,2014

対象は鏡視下鍵盤修復術を施行された114肩です。
夜間痛あり群となし群で検討しています。
検討項目は患者因子、外傷歴、喫煙歴、糖尿病の有無、自動可動域、断裂形態、罹患期間、インピンジメント徴候です。
結果は、夜間痛の呈したのは56/114肩でした。
2群間で有意差を認めたとはインピンジメント徴候と内旋可動域であったと報告しています。
これら2つで有意差を認めたことについて肩峰下圧の上昇を述べていましたが、健常者においても上肢挙上時に肩峰下圧は上昇することから、筆者は物理的刺激以外の要因を考察しています。
インピンジメント徴候は肩峰下滑液包炎により、滑液包内の血流が増加したこと、これにより炎症反応の侵害刺激により筋スパズムを生じさせるため、内旋制限をもたらしたと考察しています。
加えて、筋組織の虚血状態により発痛物質の生成も夜間痛の一要因であると考察しています。

患者因子に有意差を認めたと報告している文献や、内旋だけでなく、内外旋可動域や伸展可動域に有意差を認めたなど、夜間痛については様々な報告がされています。
夜間痛を認めている要因が炎症などであれば運動療法の適応にはなりませんが、その炎症を引き起こす因子や、夜間痛そのものの要因が軟部組織性の因子であれば運動療法で改善ができます。
夜間痛についていくつも報告がある中で、自分が担当させていただいた患者さんは何によって夜間痛が引き起こされているのか見極める必要があると感じました。

投稿者:堀内奈緒美


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