COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2019年6月23日日曜日

第134回 京都支部定例会


昨日第134回京都支部定例会が行われました。
今回は「膝関節の触診(後方)とACL損傷後の理学療法」について烏丸御池整形外科クリニックの服部隼人先生にレクチャーしていただきました。






膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament:ACL)は小さな靱帯であるにもかかわらず、その損傷はスポーツ外傷のなかでも非常に頻度の高いものであり,理学療法の一般化も進んだと思われます。しかしながら、受傷機転や予防を含めてまだ課題が多く、世界的にも論議があるのが現状です。

ACL再建術後にスポーツ復帰をめざす場合、難度の高い課題動作において、脛骨の前方引き出しや膝関節の過度な回旋ストレスが生じると再受傷につながるリスクがあります。また、術後の理学療法においては、再建靱帯、骨孔のリモデリング、関節機能に応じて段階的に動作評価を行いスポーツ復帰に向けた準備を図ることが求められます。

理学療法士はこれらを把握した上で運動療法のコンセプトを決めていかなくてはなりません。本日はACL損傷の病態解釈に必要な考え方や運動療法についてレクチャーしていただきました。


実技は膝関節後方軟部組織(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋・膝窩筋)の触診と治療を行いました。



来月はベーシックセミナーのため定例会はお休みとなります。
次回の定例会は8月24日です。
テーマは「足関節の触診(内側)足関節脱臼骨折後の理学療法について」
京都下鴨病院の為澤一弘先生にレクチャーしていただきます。
定例会の参加には事前申し込みが必要となります。
定員に達し次第申し込みを締め切りとさせていただきますのでお早めにお申し込みください。
お申込み8月1日より開始致します。

詳細はホームページを御覧ください。
https://ohmi-rigaku.jimdo.com

2019年6月12日水曜日

【文献紹介】腰椎神経根症により誘発される鼠径部痛の検討

本日紹介させていただく文献は腰椎神経根症により生じる鼠径部痛について検討された文献です。


佐々木学他:腰椎神経根症により誘発される鼠径部痛の検討.Spinal Surgery 28(1),2014:80-82


対象は下肢や臀部の根性疼痛を主訴とする腰椎変性疾患の症例に対して手術が行われた468例です。方法は診療記録を後ろ向きに調査しています。障害神経根の同定は症状の部位、神経学的所見、画像所見、必要があれば選択的神経根ブロックを追加しています。術直後に下肢の根性疼痛とともに鼠径部痛が消失した症例においては罹患期間、診断、術式、障害神経根、術前に鼠径部以外の痛みのあった部位、発症から鼠径部痛が生じるまでの期間を調査しています。罹患部位はL1/2:2例、L2/3:19例、L3/4:85例、L4/5:268例、L5/S:165例でした。単一レベルの神経根症により鼠径部痛が生じていたのは9例で、罹患部位のL3またはL4のみでした。母集団の多いL5、S1神経根症の症例においては鼠径部痛を呈した症例はいませんでした。また、複数レベルの神経根除圧を行い鼠径部痛が改善した症例もL3,L4のどちらかが含まれていたと報告しています。
これら鼠径部痛が生じていた症例は鼠径部痛のみではなく、大腿前面や膝に疼痛を訴えている症例がいたと報告しています。
デルマトームでは鼠径部痛が生じるレベルはL1,2であるが、今回の研究結果からL1,2由来の鼠径部痛はまれであることが分かったと述べています。
鼠径部痛では大腿前面と膝にかけての下肢痛は閉鎖神経の痛みの部位に非常に似ており、L3,4神経根症による鼠径部痛はL2神経を介した関連痛の可能性があると述べています。

本日紹介させていただいた文献から神経根由来の鼠径部痛はL3,4で頻度が多いことがわかりました。デルマトームの沿っていなくてもその部位に疼痛が生じることもあるため、その他の疼痛部位や症状の所見も詳細に見ていく必要があることがわかりました。

定例会のお知らせです。
日時:6月22日 18:30~
内容:ACL損傷の運動療法
定例会の参加には事前申し込みが必要です。
定員に達し次第締め切らせていただきますのでお早めにお申込みください。
https://ohmi-rigaku.jimdo.com/京都支部/

2019年6月8日土曜日

第7回 大阪支部・神戸支部合同症例検討会のご案内


開催日時:令和元年9月1日(日)9:30受付開始、10:00〜16:30
会場:千里中央病院 会議室
大阪府豊中市新千里東町1-4-3
講師:福吉正樹先生(名古屋スポーツクリニック)
講師:山本昌樹先生(明舞中央病院)
症例検討:
①肩関節周囲炎患者の結帯動作獲得に難渋した症例
②投球障害肘と診断されたリトルリーガー症例
③腱板断裂に対し上方関節包形成術が施行された症例
④上腕骨近位端骨折術後に骨折部に不安定性を認めた症例
参加費:本学会会員1000円、会員外3000円
参加定員:75名程度
事前参加登録制:下記のURLより申込フォームへ
https://ssl.form-mailer.jp/fms/62afc02c511925
※第一線で活躍中の経験豊富な講師にレクチャーしていただき、提示症例に対する意見も頂きます。グループディスカッションでアウトプットすることで更に考え方を学ぶことが出来ます。
詳細は大阪支部Websiteをご覧ください。
https://seikei-osaka.jimdo.com

2019年6月5日水曜日

【文献紹介】外側広筋の付着部について  定例会のお知らせ

本日は外側広筋の起始部について報告されている文献を紹介させていただきたいと思います。
また、本文の最後に今月の整形外科リハビリテーション学会京都支部の定例会についてご案内をさせていただきます。






吉田大地:外側広筋と股関節前面の関節包との付着について 久留米大学曾雑誌 第82巻 第1226-33 2019.


この文献では献体20体を用いられ、解剖・観察されています。

まず、大腿部の形態測定を行い、その後に大腿直筋、外側広筋の関節包への付着を確認されています。その後、外側広筋の関節包付着部位の組織学的検索を染色を用いて観察されています。
股関節包へ外側広筋が付着していたのは4肢で全体の20%に観察されたと報告されています。
その4肢の組織学的検索で筋が股関節前面の靭帯に付着してることも観察されました。

この文献では関節包へ付着していた群としていない群とに分け、他の所見も比較されています。
付着していた群ではしていない群に対して大腿直筋の付着部(起始部)の面積が小さいこと、大腿骨が細く、外側広筋の筋厚が薄いことが確認されています。

このことから筆者は股関節前方の関節包靭帯の補強を担っているのではないかと考察されています。

この文献から外側広筋が股関節前面の関節包に付着している例もあることが分かります。
大腿直筋の反回頭は同じく股関節前方関節包に付着し、関節包靭帯の補強を担うとされます。外側広筋も同様の作用があるかもしれないと考察されています。
股関節の関節包に付着することから股関節に炎症など起きた際に炎症性の筋スパズムが生じる可能性があると思いました。今回の文献では20肢と多くはないですが、そのうちの4(20)は少なくないと思います。大腿直筋や小臀筋のように股関節疾患でも意識して評価していく必要があると感じました。


整形外科リハビリテーション学会 京都支部 第134回定例会のお知らせ

6月の定例会のお知らせをさせていただきます。
日時:622日 18時より受付開始 1830分より開始します。
場所:京都下鴨病院 2階リハビリテーション室
今月は服部先生が「『膝関節の触診(後方)』ACL損傷の運動療法」について話していただきます。
定員:26名 定員に達し次第、申し込みを締め切らせていただきます。
参加費:会員 無料 非会員 500


投稿者:天鷲翔太

【文献紹介】 subacromial fat pad

本日紹介させていただく文献はsubacromial fad patの解剖についてです。

M Vahkensieck.:Subacromial fat pad.Surgical and Radiologic Anatomy18(1),1996:33-36

MRIと屍体を用いて検討しています。
屍体は12体用いてsubacromial fat padの最大長、背側部分の長さ、最大幅を測定しています。
MRI撮影の対象は健常人5例で、MRIでの信号強度及び形状、肩峰・鎖骨・棘上筋との関係を分析しています。
解剖の結果はsubacromial fat padの存在場所は棘上筋の上で、筋膜に包まれていました。
最大長は約50mm、背側部分の長さは約39mm、最大幅は約28mmでした。
直径は肩峰内側で最小で円錐結節レベルで最大で、外側に向かって減少する傾向にありました。
MRIの結果は5人の健常人のsubacromial fat padの形状はほぼ一定で、信号は周囲の皮下脂肪と同様でした。
MRIでのsubacromial fat padの大きさ、形状および位置は屍体の所見と一致していたと報告しています。
今回のMRIの撮影方法から斜位矢状断と斜位水平断でsubacromial fat padについて理解できると述べています。


SABはC-A archに入ってすぐのところまでで、そこから内側はsubacromial fat padが存在していることがわかりました。滑液包ではなく脂肪体が存在していることから、圧緩衝が必要な部分であることが考えられました。肩関節症例において、滑液包の癒着が原因か、脂肪体が癒着してるのか、圧緩衝ができないような柔軟性が低下する要因がその他にあるのか詳細に評価していく必要があると感じました。


6月の定例会についての連絡です。
6月1日より申し込みが始まりました。
日時:6月22日 18:00〜受け付け開始
今月は「ACL損傷の運動療法」についてです。
定員は26名で、定員に達し次第申し込みを締め切らせていただきます。
お早めにお申し込みください。


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