COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年3月2日木曜日

【文献紹介】肩関節拘縮症例における肩関節の動態について

 本日は、肩関節拘縮症例の肩関節の動態がその後の経過とどのような関連があるかについて報告されている論文を紹介します。
 
君塚康一郎:肩関節拘縮に対する保存的治療の検討. 肩関節30(3): 515-518, 2006.

 臨床において、障害のある関節は生理的な関節運動が出来ないことが多いです。これを是正することで疼痛が軽減したり関節可動域が広がったりすることから、生理的な関節運動を理解することは理学療法において重要かと思います。
 肩関節の生理的な関節運動のひとつに、挙上に伴い大結節が烏口肩峰弓内(以下:肩峰下)を通過することが挙げられます。本日紹介する文献は、医者が肩関節拘縮症例における保存療法の適応を明らかにすることを目的に、大結節と肩峰下の位置関係について着目し治療成績を検討されています。
 大結節が肩峰下に位置する群(Rotational Glide群)としない群(Prerotational Glide群)で比較されています。Rotational Glide群は全例、6ヶ月後に肩峰下を通過していたのに対し、Prerotational Glide群の約1/3の症例は肩峰下を通過できなかったとしています。
 この結果から、生理的な肩関節運動が獲得されている症例の方が経過は良好であることと推察されます。関節を評価する際に、その関節が生理的な運動をしているか否かを評価すること、生理的な関節運動を制限する原因を判断することが関節障害の改善につながると再確認できました。臨床に生かしていきたいです。


投稿者:中井亮佑

【文献紹介】腱板断裂における上腕骨頭上方化と上方関節唇損傷の関係


今回は、腱板断裂における骨頭上方化と上腕二頭筋長頭腱や上方関節唇損傷の関係を明らかにした論文です。
 

 

この研究は棘上筋・棘下筋腱板断裂に対して手術が行われた45肩が対象です。術前X線にて肩峰骨頭間距離を測定した後、7mm以上を上方化なし群、7mm以下を上方化あり群に群分けし、LHB断裂・脱臼の有無や上方関節唇損傷の程度などを二群間で比較しています。


結果、上方化あり群では上方関節唇損傷が多く、肩峰骨頭間距離と関節鏡視下での上方関節唇損傷の程度は負の相関があったと示されていました。


この研究から上方関節唇損傷と上腕骨頭上方化は関連している可能性があることを学びました。関節の構造が破綻すれば、その関節はどのような状態になりやすいのか、適切な病態把握ができるよう努めていきたいと思います。

 

投稿者:佐々木拓馬

2017年2月26日日曜日

【文献紹介】膝窩筋機能の肉眼解剖学的検討

本日紹介させていただく文献は肉眼的に膝窩筋の大腿骨付着部位を明らかにし、膝関節屈曲に伴う形状変化、機能変化について検討した文献です。

江玉睦明他:膝窩筋機能の肉眼解剖学的検索.スポーツ障害vol8:47-19,2013


対象は解剖用固定遺体9体16膝で膝関節伸展0°で検討されています。検討はLCLとの位置関係で分析されています。
結果はLCLの下方に付着(下方型)していたしていたのが9膝、前下方に付着(前下方型)していたのが7膝であったと報告しています。形態的変化については屈曲に伴い脛骨関節面に対して長軸方向に垂直位と報告しています。膝窩筋腱溝にはまり込み伸張されていく角度は下方型で136±6°、前下方型で129±4°と報告しています。

考察においては過去の報告と比較しても一定の見解が得られておらず、人種差が示唆されるとしており、形態・機能変化については大きなトルクは生じないが、膝関節深屈曲位では膝窩筋は伸展方向に作用する可能性が示唆されたと述べています。

膝窩筋については多数の報告があり、一定の見解が得られておらず、非常に興味深い組織であると感じています。
今後も膝窩筋について調べていこうと思います。

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