COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年8月8日土曜日

アキレス腱付着部の肉眼的解剖

今回はアキレス腱付着部における肉眼的解剖についての文献を紹介させていただきます。

江玉睦明ら:アキレス腱のねじれ構造の肉眼解剖学的検討.新潟医療福祉学会誌 13(1): 45-45, 2013.



この研究では、御遺体を用いてアキレス腱の付着部を、内側頭・外側頭・ヒラメ筋の3頭に分離して、それぞれが踵骨のどの部分に付着するのかを検討されています。

アキレス腱は、内側頭・外側頭・ヒラメ筋の付着する線維束が互いにねじれながら融合しており、アキレス腱を頭方からみて右側のアキレス腱では反時計回り、左のアキレス腱では時計回りの方向へねじれを呈し、外側方向へのねじれを伴いながら踵骨のそれぞれの面に付着していたとされています。


中でも、内側頭は踵骨の外側に付着しにいくため、ねじれ構造の中心として捕えられており、踵骨の前方にはヒラメ筋、中間に外側頭、後方に内側頭が付着するタイプ。前外側に外側頭・前内側にヒラメ筋・後方に内側頭が付着するタイプ。前方に外側頭・後内側にヒラメ筋・後外側に内側頭が付着するタイプなどが存在し、後者のタイプほどアキレス腱のねじれが強くなるようです。


これらのことより、内側頭はハムストリングスの次に肉離れの多い部位であるとされていることもこれらに関わりがあるのではないかと考察されています。
このことを踏まえると、下腿三頭筋のそれぞれの筋線維束の選択的なストレッチ方法や、収縮の方向など、アプローチの方法も変化してくるのではないかと考えられます。


投稿者:為沢一弘


2015年8月5日水曜日

第101回定例会のご案内

第101回定例会のご案内です。




今月は滋賀会場・京都会場ともに8月22日に定例会を開催予定です。


滋賀会場

滋賀会場では先日に行われた整形外科リハビリテーション学会の宿泊研修会の内容の伝達講習会を行います。

場所:生田病院 1階 リハビリテーション室
時間:受付15時30分〜  開始16時
内容:「肩関節後方の触診」    杉山慶悟先生(城北整形外科クリニック)
   「膝関節後面の触診」    加納理沙先生(城北整形外科クリニック)
   「肩関節後方組織について」 三倉一輝先生(城北整形外科クリニック)
   「膝関節後面組織について」 小野正博先生(秋山整形外科クリニック)




京都会場

京都会場では通常通り症例検討とレクチャーを行います。
場所:京都下鴨病院 2階 リハビリテーション室
時間:受付18時〜 開始18時30分
レクチャー:「上腕骨近位端骨折の理学療法」 永井教生先生(京都下鴨病院)
症例検討:未定

京都会場では症例検討を募集しています。お困りの症例がおられる場合は是非申し込んでみて下さい。
➡️症例検討応募フォーム



今月も整形外科リハビリテーション学会京滋支部をよろしくお願い致します。
➡️ホームページhttp://ohmi-rigaku.jimdo.com



投稿者:為沢 一弘

2015年8月2日日曜日

掌側ロッキングプレート;方形回内筋温存法


今回の文献は掌側ロッキングプレート;方形回内筋温存法についてです。
 

今谷潤也:掌側ロッキングプレート;方形回内筋温存法
Orthopaedics  Vol.27  No.1  2014

橈骨遠位端骨折の治療において掌側ロッキングプレート固定法は一般的となり、良好な成績が多く報告されています。掌側ロッキングプレート固定法は橈側手根屈筋腱上に皮切を加え展開し、橈側手根屈筋腱を尺側に、橈骨動脈を橈側へよけて方形回内筋を切離します。そして橈骨掌側面を展開しプレートを設置する方法です。

今回の文献では方形回内筋を温存し、骨折部を直接展開することなく、小皮切からプレートを方形回内筋の下層へ滑り込ませて内固定するMIPOminimally invasive plate ostheosynthesis)法についての手術手技や治療成績について報告されています。手術手技についても術前計画から、進入法や整復手技、固定原理、固定手技についても細かく記載されています。

方形回内筋は尺骨下部前面より起始し、橈骨下部前面に停止する純粋な回内作用を持つ筋です。特徴として前腕の筋肉の中で最も深層に位置し、幅は34cm程度であり、尺骨の付着は橈骨の付着と比べて背側へと延び、尺骨に巻きつくような位置関係となります。また、方形回内筋深層部の前骨間動脈および橈骨・尺骨動脈は方形回内筋内においても豊富なmicrovascular connectionを形成しているとされ、橈骨遠位骨端部の血行において重要な役割を担っているとされています。

解剖をしっかり熟知して、手術によりどの組織が侵襲されているかを理解した上で治療していくことが必要です。そうしていけるよう日々努力を続けていきたいと思います。


投稿者:吉田雄大

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