COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2017年10月9日月曜日

第44回日本肩関節学会

10月6日〜8日の3日間、グランドプリンスホテル新高輪で行われた第44回日本肩関節学会・第14回肩の運動機能研究会に参加してきました。
京都下鴨病院から小野志操先生と團野翼先生が発表され、烏丸御池整形外科クリニックから永井教生先生と服部隼人が参加しました。




小野志操先生
「リバース型人工肩関節置換術後可動域改善に対する工夫とその効果」

團野翼先生
「反転型人工肩関節置換術後の上肢挙上可動域に影響する因子の検討」

リバース型人工肩関節は平成26年4月から日本で使用可能となり、今年で3年目になりますが機種の多様化、術中での工夫する点、長期成績など数多くの演題がありました。また肩の運動機能研究会においても症例報告や画像所見から可動域に関わる因子についての検討、シンポジウムでの一括討議などがあり、とても内容が豊富でした。当院においても症例数が増えており、今後の運動療法に活かせるよう、更なる知識・技術の研鑽が必要であると感じました。

投稿者:服部隼人

2017年10月3日火曜日

【文献紹介】人工膝関節全置換術における膝蓋骨アライメントと術後可動域


本日は、人工膝関節全置換術における膝蓋骨アライメントと術後可動域について書かれた文献を紹介させていただきます。


稾 賢一ら:人工膝関節術における深屈曲縫合後の膝蓋骨アライメントと
術後可動域の関係 中部整災誌 Vol.52(2009)95-96

本文献は、膝蓋骨非置換TKA症例を対象に深屈曲縫合後の膝蓋骨アライメント変化と術後可動域の関係について検討されています。

術後平均観察期間は14.1ヶ月であり、手術方法は内側傍膝蓋アプローチにて展開し、機種はBi-Surface kneeを使用しています。検討項目は、JOAPF関節痛の有無、膝蓋大腿関節痛の有無及びROMを、X線評価としてFTA、膝蓋骨厚(PD)、Insall-Salvati比(I-S比)と、膝蓋骨のtilting angleTA)、外方偏位(LS)およびPF関節の接触を術前と経過観察時に測定しています。

 結果の一部を紹介させていただきます。
術後平均ROMは改善したが、不良例も数症例認めていた。ROM変化例と不良例を比較すると、改善不良例はPDが有意に高く、I-S比が有意に低い結果であった。また、TAおよびLSは術後増大を認めたがROMとの関係は認めない結果であったと報告しています。

 この文献を読んで感じたことは、TKA術後の膝蓋骨周囲組織に対するアプローチの重要性でした。本論文においてPDが厚くI-S比が低い症例はROMが不良であったとの報告から、術後PF関節や膝蓋靭帯部での拘縮はROM制限につながることが考えられ、膝蓋骨周囲の軟部組織や膝蓋靭帯及び深層組織の滑走性かつ柔軟性の改善がROM獲得に必要であることを再認識しました。
TALSROMへの影響については、BindelglassらはTKA術後TALSが悪化したとし、膝蓋骨傾斜と術後屈曲角度との関連は乏しいと報告しており、一定の見解は得られていません。

今後さらにTKAについて調べ、良好な可動域を獲得できるよう知識・技術共に日々研磨していきたいと思います。

投稿者:鷲見 有香

2017年10月1日日曜日

【文献報告】等尺性収縮を用いた肩関節ROM訓練

本日紹介させていただく文献は拘縮肩に対して等尺性収縮の効果を検討した文献です。

林典雄他:等尺性収縮を用いた肩関節ROM訓練−ストレッチングとの比較−.理学療法学17(5):485-489,1990


対象は肩関節周囲炎と診断された屈曲100°以下の拘縮肩33例です。
ストレッチ群と等尺性収縮施行群の2群で理学療法介入後の屈曲可動域を比較しています。
結果はストレッチ施行群と比較し、等尺性収縮施行群において有意に可動域が増加していました。
筆者は、拘縮肩の一要因として筋腱移行部でのコラーゲン沈着をあげています。
これに対して等尺性収縮を用いることでストレッチ刺激が効率よく加わることで可動域が増加したと考察しています。
可動域が改善したもう一つの要因として、等尺性収縮による熱生産により筋の粘弾性が低下することをあげています。


拘縮肩は臨床の中でもよく経験する疾患です。
その拘縮が攣縮なのか癒着なのかコラーゲン沈着なのかによって治療の介入方法が異なると思います。
詳細な原因を見つけるとともにそれらに対して適切な治療が行えるように、正確に評価できる知識と技術、拘縮の理解を深めていく必要があると感じました。



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